『ジュラシック・ワールド』が放つ“パーク”の魅力 ラプトルとT-REX共闘の感慨深さ

『ジュラシック・ワールド』の感慨深さ

 ラプトルはもともと『ジュラシック・パーク』シリーズを通して“ヴィラン”として描かれてきた。第1作目では狡猾な手口でグラント一行を襲い、それをレクシィがある意味助ける。この時にラプトルにつけられた傷が残っていることから、ラストにクレア(ブライス・ダラス・ハワード)がハイヒールで全力疾走しながら連れてくる(『T-REXキングダム』で披露されていた)ティラノサウルスが、かつてグラント博士たちを助けたあのレクシィであることがわかる。

 つまり、このクライマックスのシークエンスで、そのティラノサウルスが“ラプトルたちと”共闘し、インドミナス・レックスを倒す工程そのものが実は非常にすごいことなのだ。それと同時に、オーウェン(クリス・プラット)とブルーを通して描かれる、人間とラプトルの関係性の変化も第1作目から振り返るとかなり感慨深いものがある。

 だからこそ、“あの”ラプトルであるブルーが仲間に放つ鳴き声を上げながら、窮地に陥ったオーウェンたちを助けるために颯爽と現れる瞬間は感極まって涙が溢れるくらい感動するシーンなのだ。そういった本作における感情や、“ハート”となる部分が、恐竜を中心に生み出されている点が『ジュラシック・ワールド』の素晴らしいところだ。

 『ジュラシック・ワールド』の続編として高く評価したいのは、Netflixオリジナルシリーズの『ジュラシック・ワールド/サバイバル・キャンプ』。アニメーションと侮るなかれ、崩壊したイスラ・ヌブラル島に取り残された子供たちが生き延びるさまが描かれる傑作なので、本作とあわせて観てほしい。

■放送情報
『ジュラシック・ワールド』
日本テレビ系にて、7月22日(金)21:00~23:24放送
※本編ノーカット、放送枠30分拡大
監督:コリン・トレボロウ
製作総指揮:スティーヴン・スピルバーグ、トーマス・タル
製作:フランク・マーシャル、パトリック・クローリー
脚本:リック・ジャッファ&アマンダ・シルヴァー、デレク・コノリー&コリン・トレボロウ
キャラクター原案:マイケル・クライトン
出演:クリス・プラット、ブライス・ダラス・ハワード、ヴィンセント・ドノフリオ、タイ・シンプキンス、ニック・ロビンソン、オマール・シー、B・D・ウォン、イルファン・カーン
(c)2015 Universal Studios and Amblin Entertainment, LLC. All Rights Reserved.

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「作品評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる