『パンドラの果実』ライデングループの深まる闇 S2でスケールアップした濃密な物語

『パンドラの果実』S2はS1を凌駕する

 ディーン・フジオカ演じる小比類巻祐一警視正と、岸井ゆきの演じる天才科学者の最上友紀子博士、そしてユースケ・サンタマリア演じる叩き上げの刑事・長谷部勉警部の3人が、最先端の科学を使った犯罪を解き明かしていく『パンドラの果実~科学犯罪捜査ファイル〜』。

 4月期に日本テレビ系列で放送されていた「シーズン1」では、“科学犯罪対策室”の創設にはじまりAIロボットの叛乱や死者と会えるVR世界、不老不死を可能にするウイルスの変異など、従来の刑事ドラマからしてみれば極めて未来的で、かつSFドラマとしてみれば限りなく現実的/現代的なテーマが描かれていった。そして不老不死研究の第一人者である榊原(加藤雅也)の仕掛けるバイオテロを未然に阻止したところで、物語にひとつの区切りが付けられることとなったのである。

 「シーズン2」は、その「シーズン1」の最終話が放送された同日に入れ替わるようにしてHuluでの独占配信がスタートした。地上波放送から配信ドラマへとシフトしていく流れは、地上波放送では実現が難しい描写も可能になるなど、今後もジャンル性の強いドラマを中心に増えていくことだろう。この『パンドラの果実』においても、「シーズン2」はもはや続編というよりも、幾分かスケール感を増した“進化系”といった印象を受ける。

 すでに配信がスタートしている第3話まででは、科学犯罪対策室に新たなメンバーが加わるなか、最上が窮地に陥る様が描かれていった。新たな敵として立ちはだかるのは、巨大な多国籍テクノロジー企業と国家ぐるみの陰謀。そのすべては、突如として超人的な力を手にした男が周囲の人々を襲撃し、自らも絶命するという怪事件から幕を開けた。

 その男・別所(福崎那由他)が半年前に、最上の恩師で現在は「ライデングループ」という巨大企業の研究機関に所属する研究者・九竜(升毅)の開発したワクチンを接種していたことがわかり捜査に乗り出す科学犯罪対策室。しかし最上は遺体のDNA鑑定を行なっている最中に何者かに拉致され、気が付くと九竜殺しの罪を着せられてしまい逃亡。手塚(池内万作)ら公安捜査官に追われる身となってしまう。一方で小比類巻たちは、九竜のワクチン接種を受けていた元少年犯罪者たちを集めて聴取を行おうとするのだが、そのうちの一人が突然凶暴化してしまうのだ。

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