『六本木クラス』初回はオリジナルに忠実な展開に 竹内涼真×香川照之の戦いが始まる

『六本木クラス』初回は韓国版に忠実な展開に

 7月7日から放送開始となった木曜ドラマ『六本木クラス』(テレビ朝日系)。本作は2020年にNetflixで全世界配信され、日本でも根強い人気を誇った韓国ドラマ『梨泰院クラス』の日本版リメイクとなる。

 放送前からキャスティングなどで話題を呼んでいたが、やはり初回放送時にはドラマタイトルのほかに、長屋ホールディングスの創業者および会長である長屋茂を演じる香川照之の名がトレンド入りしていた。

 オリジナル版が韓国の中でも多国籍な文化に富んだ繁華街、梨泰院が舞台だったのに対し、同じ文脈で日本版では六本木での物語となる本作。第1話は遡ること2006年、父親の信二(光石研)と二人暮らしをしていた宮部新(竹内涼真)が新たな高校に転校するところから始まる。その通学路で、彼は募金を求める男を振り払う優香(新木優子)に出会う。この一連のシーンは、冷たい態度をとった彼女を嗜める彼の正義感の強さがわかると同時に、優しくしてもお金を払わないならそれは偽善的である、と合理的でリアリスティックな優香の性格を表すシーンにもなっている。

 しかし、そんな新が正義感の強さゆえに転校初日から手を出してしまった相手が、自分の父が務める長屋ホールディングスの会長の息子、龍河(早乙女太一)だった。龍河は先生がクラスからいなくなると、パシリの同級生・桐野(矢本悠馬)をいじめる。目元にジュースをかけるなど、悪質で暴力的な彼の態度に我慢ができなかった新は、優香の制止も聞かずに拳を振り上げる。何より、彼は先生が教室に戻ってきたのにもかかわらず、龍河の暴行を見て見ぬふりしたことにも腹を立てていた。将来、警察官を目指していることもあって、悪行は見逃せないのだ。結果、学校に父・信二も呼び出され、龍河と彼の父親、茂に謝罪をする流れになる。しかし、「息子に土下座しろ」と言う茂に毅然とした態度で拒否する新、そしてその彼を「誇りに思う」と言う信二の親子は堂々とその場を後にした。

 ネット上での視聴者の声として、この “良い父親”を演じる光石を高く評価するものが多かったが、彼は残念ながらその後交通事故に遭い、死亡。なんと第1話で退場してしまった。しかし、これは韓国版と同じである。とはいえ、そこから日本版のラストまでに描かれたエピソードは韓国版では第2話の中盤までで描かれているもの。約100分の時間をかけてオリジナルで描かれた内容が、日本版では約60分で描かれているのだ。そのため、出来事は全く同じ順序で起きているものの、父親の葬式のシーンや新と優香が連絡先を交換するシーン、鶏小屋で龍河が父親に心をおられるシーンなど、じっくり描くことでキャラクターの心情の機微が強調される場面での情緒がやや欠けている印象も。韓国版の人気が非常に高かったため、全く同じような展開で再構築していくのであれば、今後もこういった演出面での比較が本ドラマの評価に繋がっていくことは避けられないだろう。

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