子役出身のヨ・ジングとムン・ガヨンが“大人”の再共演 感情がリンクする『LINK』での好演

 冷蔵庫がなぜ多くを語るものなのかという説明とともに、さまざまな家の中にある冷蔵庫内が映し出される。持ち主により、暮らし方により、中に入れるものがこんなにも違うのだという、あたりまえのことだけれど、気づかずにいることに気づかせてもらい、(他人の家の冷蔵庫内ってそんなに見る機会ないですよね)冷蔵庫を紹介しつつ、最初に登場するのが、母親と男女のきょうだいというのも、ありし日の母ときょうだいたちはこんなに和やかだったのかと思わせる。今後の物語の展開につながっていくメタファーともとれる。

 ディテールに凝った作品には、見つける喜びがあるが、ヨ・ジングの出演作『怪物』でキーパーソンとなる人物が、この作品内でもキーパーソンとして出演している。初登場シーンは、注視しないとわからないようサラリと登場させているので見つける楽しみを味わっていただきたい。

 演出を務めるのは『彼女の私生活』のホン・ジョンチャン。同作では、生い立ちに心の傷を抱えるライアン・ゴールド(キム・ジェウク)がヒロインとの出会いをきっかけに、心の傷から解放され立ち直っていく様をラブコメに巧く絡め描いた。今作でも、妹のことが、ゲフンの現在進行形の未だ癒えない傷であり、職業選択にまで関わることも明かされる。

 『名家』以来、12年ぶりに大人の役者として共演したヨ・ジングとムン・ガヨンの感情がリンクする演技は、ともに子役としての長いキャリアと定評のある演技力で没入させられる。2人のケミもとても良く、妹の事件後、心身が不安定になった母がゲフンを責め立てるシーンからのゲフンとダヒョンの感情リンクの演技には、胸をつかれ、涙腺を刺激された。

 18年前、取り返しのつかない過ちを犯したと自分を責めるゲフンは、“苦痛にあえぎ続けたまま抜け出せない愚かな人”と他者を寄せつけないように生きてきた。そのゲフンが町に隠された事件と人々とのリンク=繋がりの全容を解き明かし、ダヒョンとの恋、2人の感情のリンクがどうなっていくのかが今後の見どころだ。塔に囚われている少女とともに自分の心も助け出し、恋心にまっすぐに向き合えるようになってほしいと願いながら、恋のキュンキュン、町と人と事件と謎にハラハラドキドキ、カリスマシェフ、ゲフンによる華やかで美味しそうな料理の数々を最後まで堪能したい。

■配信情報
『LINK:ふたりのシンパシー』
ディズニープラス スターにて独占配信中
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