『ちむどんどん』憂いを帯びゆく愛に目が奪われる 飯豊まりえの“十八番”とも言える演技

『ちむどんどん』飯豊まりえの“十八番”の愛

 学芸部に配属になり5年。そこでやっと掴み取れそうな位置にきた自身の企画。しかし、愛を迷わせているのは両親の間で着々と進んでいる結婚の話だ。企画が通り評価されれば愛にとって念願だったパリに行ける可能性も出てくる。だが、このまま結婚がとんとん拍子に進んでいけば、田良島も口にしていた「寿退社」ということになるのだろう。頼りの和彦も結局は他人任せで、ある種の一辺倒な考えにある。いつまでも逡巡を巡らせる和彦に愛はとうとう「ほかに好きな人でもいるの?」と切り出してしまうのだった。

 初登場時と見比べてみると驚くほど、今の愛が纏うオーラは違う。暢子が思わずポーッと見惚れるようなハツラツとした愛の姿は、いつの間にか憂いを帯びた女性へと変化している。根底にあるのは自信が持てない、自分への疑い、迷い。そのグラデーションが緩やかなのは飯豊の演技力の賜物である。

 自由で何にも縛られず感じるままに生きる暢子を羨ましいと話していた愛。そんな彼女にとって田良島の「幸せは結果ではない。ワクワクして夢に向かって頑張る時間、それが幸せってもんじゃないか?」という言葉はより心を揺さぶるだろう。7月7日からは飯豊が主演を務めるドラマ『オクトー ~感情捜査官 心野朱梨~』(読売テレビ・日本テレビ系)がスタートすることもあり、『ちむどんどん』からの離脱も考えられる愛。数少ないまともなキャラクターとして視聴者からの人気も高い愛だけに、彼女には光で照らされた幸せな道を歩んでいってほしい。

■放送情報
連続テレビ小説『ちむどんどん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
主演:黒島結菜
作:羽原大介
語り:ジョン・カビラ
沖縄ことば指導:藤木勇人
フードコーディネート:吉岡秀治、吉岡知子
制作統括:小林大児、藤並英樹
プロデューサー:松田恭典
展開プロデューサー:川口俊介
演出:木村隆文、松園武大、中野亮平ほか
写真提供=NHK

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