つるの剛士、野田聖子らが“こどもと対話”を語る 映画『こどもかいぎ』イベントレポ

『こどもかいぎ』公開記念イベントレポート

 7月2日、都内にて映画『こどもかいぎ』の公開を記念したイベント「第1回『こどもかいぎ』フォーラム」が行われた。フォーラムにはタレントのつるの剛士をはじめ、こども政策担当大臣の野田聖子、玉川大学教育学部教授の大豆生田啓友、監督の豪田トモが登壇。「こどもと対話」をテーマに、“対話の場”を作ることがこどもたちの未来をどう変えるのかについて「おとなかいぎ」を開催した。

 『こどもかいぎ』は、こどもたちが輪になって「かいぎ」する保育園を1年にわたり撮影したドキュメンタリー作品だ。「対話」をテーマに、こどもたちの声に耳を傾けることこそが社会が抱える課題を解決するヒントになるのではないか、ということを描いた内容となっている。監督は映画『うまれる』シリーズを生み出した豪田トモ。

豪田トモ

 「こどもかいぎ」にちなみ、「おとなかいぎ」と銘打たれた今回のフォーラムでは、さまざまなジャンルの専門家が「こどもと対話」することについて熱い意見を交わした。冒頭では小学校2年生から6年生のこどもが司会を務め、フォーラムの参加者を紹介。たどたどしくも一生懸命な姿に会場は一気に温まった。フォーラムではさっそく野田が、「おとなかいぎ」の進行を務める豪田監督からの質問に答える形でこども家庭庁での取り組みについて話す。野田は「6月15日に、こども家庭庁を作る法律が成立しました。私は国会議員の仕事が30年目なのですが、ずっと思っていた素朴な疑問があります。国会議員は、国全部の決め事をする場なのにこどもの『こ』の字が出てこない職場なんです。私はこどものために、実際にいざ何かをするための場所と法律がないということに疑問を感じていました。常に『こども』の存在をみんなの頭に入れておいてもらうために『見える化』したことが第一歩だと思っています」と述べた。

野田聖子

 さらにつるのは、自身が5人のこどもの父親で保育士の資格も取得したことから、こどもの未来について「僕たちの世代がこどもたちファーストで考えていかないと。そうしないとやばいと、身をもって感じました」と語る。また、「自分のできることで、こどもたちに何かできないかなと思って専門的な学びをしようと短大に入りました」と話し、自身もこどもたちと対話していくための学びを深めているという。

つるの剛士

 また、大豆生田は『こどもかいぎ』を鑑賞した感想として「僕の研究のやり方で、家に入ってビデオカメラを持って追いかけるというものがあります。毎日ドラマがあって、涙が出るんですよね。今回の映画でも、ネタバレになってしまうのであまり言えませんが、こどもひとりひとりを観てほしいです。あんな思いで語ったり、語らなかったり。こどもは懸命に生きていて、自分の思いをしっかり持っているんです。でも語ったり、語らなかったり。改めて『こどもすごい!』って思いますね。これは保育の関係者じゃない人に観てほしい作品です。『こどもまんなか社会』なんだから、こんなにこどもが思いを持って生きていることをみんなに知ってほしい」と熱く語る。自身の専門的な視点を交えつつ、『こどもかいぎ』がドキュメンタリー映画を通してうつしたこどもの姿に感動した様子だった。

大豆生田啓友

 90分という長丁場の「おとなかいぎ」であったが、議論は白熱。それぞれが抱くこどもへの想いをぶつけ合った。最後に、未来のこどもたちにどういう社会を残したいかという質問では、大豆生田が「『こどもたちが生きている未来は希望に溢れている』と思って、育てたいと思っています。もちろん大人からすれば困難があることはわかっています。ですが、こどもが小さいうちから、希望がある、つまりエージェンシーだと感じていくことが大切だと思っています」と述べた。加えてつるのが「『こどものために未来を』って言葉は昔からよく言われていますが、ずっと違和感があった。大人が楽しんでないのにどうやってこどもに明るい未来を見せるんだと思っていて。まず僕らが楽しむべきでしょ。親としてもそう。まずはパパが楽しんで、夢を追いかけて頑張って、その背中を見てこどもたちも頑張れと思っています。父親である前に、人としてしっかり生きていくことが大切。生きるって楽しいことだと、こどもたちに教えていきたいですね」と熱い思いを語った。

 時に冗談を交えつつも、こどもとの対話のために様々な意見が寄せられた「おとなかいぎ」。父親・母親としてそれぞれが自分たちのこどもとの向き合い方に悩む姿もあり、こどもと大人がわかりあうことの難しさも伝わってきた。だがこうして、こどもの声を聞こうとする大人が増えることや、こどもの声に耳を傾ける環境ができることこそが重要なのだと感じられた。

■公開情報
ドキュメンタリー映画『こどもかいぎ』
7月22日(金)よりシネスイッチ銀座ほか全国順次公開
監督:豪田トモ
ナレーション:糸井重里
プロデューサー:牛山朋子
コピーライト:岩下創
音楽:「ビューティフル・ネーム」ゴダイゴ/作詞:奈良橋陽子・伊藤アキラ/作曲:タケカワユキヒデ
推薦:厚生労働省
後援:内閣府/日本保育協会/公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン
配給:AMG エンタテイメント
2022年/ドキュメンタリー/88分/カラー/ビスタ/ステレオ
公式サイト:https://www.umareru.jp/kodomokaigi/

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