『キセキ』は日本代表俳優の誕生秘話だった? 菅田将暉、横浜流星、成田凌、杉野遥亮の今
横浜流星は映画の公開当時まだ21歳。戦隊モノ出身の若い俳優で一般的な知名度はまだまだ低い段階だったが、ヒデと予備校時代からの付き合いがあり、グリーンボーイズのメンバーのひとりとなるナビを演じた。黒ぶち眼鏡をかけていたためもあるが、“まだ何者でもない”学生の雰囲気がよく出ていた。だが、この映画の1~2年後頃から、主演した青春映画が立て続けに公開。また、深田恭子主演のドラマ『初めて恋をした日に読む話』(TBS系)で、深田の相手役となる高校生・由利匡平を好演し大ブレイク。端正な顔にピンクヘアの通称“ユリユリ”に、ついときめいたお姉さんは多かったはずだ。
その後、『あなたの番です』(日本テレビ系)で田中圭と共に事件解決に動くクレバーな大学院生や、『シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。』(読売テレビ・日本テレビ系)で主人公を操る大学生などを演じた。アクションシーンはあれど、比較的クールで“静”のイメージの役が多かったが、2022年1月クールのドラマ『DCU』(TBS系)では、短気で感情的な面のあるDCU第一部隊のダイバー、瀬能陽生を好演し、新たな一面を見せた。
成田凌のこの5年の躍進ぶりもすさまじい。『キセキ』では、グリーンボーイズのムードメーカーでノリの軽いクニを演じたが、この時点ではあくまで仲間のひとり。一度音楽をやめようとしたヒデを温かく迎える、というシーンはあるものの、他に突出して目立つような場面はなかった。
だが同じ年に、ドラマ『コード・ブルー ードクターヘリ緊急救命ー』(フジテレビ系)で演じた、自信のないフライトドクター候補生で強い印象を残す。2018年には同作品の劇場版にも出演。また映画『スマホを落としただけなのに』の狂気の殺人犯、浦野役でも観客を震え上がらせた。そこから2022年2月までの間に、実に15本もの映画に出演している。そして2022年1月クールの連続ドラマ、『逃亡医F』(日本テレビ系)で初主演を果たした。逃亡しながら行く先々で、その場にある物を駆使して手術をする天才外科医、というマンガチックになりそうなキャラを、大げさにせず誠実に演じていた。
最後に杉野遥亮。『キセキ』ではグリーンボーイズのメンバーのひとり、ソウを演じたが、この作品がスクリーンデビュー作。4人の初めてのレコーディングシーンでは、歌うことも体全体でノることもちょっと恥ずかしそうにしている姿が初々しかったが、同年には『兄に愛されすぎて困ってます』、『覆面系ノイズ』と出演作品が2本も公開。その後多数の映画に出演していく。ドラマでも『大恋愛~僕を忘れる君と』(TBS系)、『ハケンの品格』(日本テレビ系)、『教場II』(フジテレビ系)などヒット作に次々に出演。2019年には『スカム』(MBS/TBS)で初主演を務め、詐欺に手を染めていく青年役を好演した。
そして2021年、『恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~』(日本テレビ系)でのピュアなヤンキー役と、2022年1月クールの『妻、小学生になる』(TBS系)で演じた、口数は多くないけれど優しい愛川蓮司役で人気が爆発。今後がさらに楽しみな俳優のひとりだ。
ざっと振り返っただけでも、この5年間のグリーンボーイズの4人の出演作品数は膨大で、しかもそれぞれの演技を見た人間の満足度はかなり高い。つまるところ『キセキ』は、今後の日本を代表する俳優陣の誕生秘話だった、ともいえるのだ。