『やんごとなき一族』変わり果ててしまった健太の姿に涙 松下洸平の演じ分けの凄まじさ
奈落の底に突き落とされたような衝撃が広がる。豹変してしまった健太(松下洸平)の姿が多くの視聴者にショックを与えた『やんごとなき一族』(フジテレビ系)の第10話。健太の記憶喪失を皮切りに、深山家は破滅へ向かって走り出す。
佐都(土屋太鳳)は無事に女の子を出産。しかし圭一(石橋凌)は女だからという理由で赤ちゃんに見向きもしなかった。怒った健太が圭一に食ってかかるが、揉み合いのようになり階段から落ちて頭を打ってしまった。これが引き金となり、半年前の泉(佐々木希)との落下事件の後遺症を発症した健太は記憶喪失になってしまう。愛する佐都のことも、かわいい我が子・凛のことも思い出せぬ中、健太は次第に圭一の思うままに深山家の次期当主を志すように。そして佐都や凛を避けるまでになってしまうのだった。
これまで2人の絆でどんなことも乗り越えてきた佐都と健太。しかし予期せぬ、そして誰にも救うことのできない危機が訪れてしまう。有沙(馬場ふみか)も久美(木村多江)も、あれだけ佐都を思っていた健太なら絶対に佐都のことを思い出すはずと励ますが、佐都の不安は募るばかり。そして圭一の策略により、佐都と健太の溝はより深いものになっていく。かつての二人の姿とは程遠い冷え切った関係に、胸が切り刻まれるような苦しさを感じた。
これまで佐都を一番に考え、愛情深く家族を包み込んできた健太という役を演じてきた松下洸平。しかし第10話ではまるで別人のように、佐都を“他人”として異質なものを見るような目で見、“健太であって健太でない”というあまりに複雑な状況を演じきる。これまでの暖かい瞳からは、佐都だけではなく視聴者までもが優しい気持ちをお裾分けしてもらっていただけに、変わってしまった健太の目がつらい。そしてそんな健太をこれだけはっきりと演じ分け、向き合っている松下の役者としての凄まじさに驚かされるばかりだ。佐都を演じる土屋太鳳、そして健太を演じる松下がこれまで真っ直ぐ向き合って積み上げてきたからこそ、私たちは佐都と健太の絆を信じて疑わなかった。それ故に、二人が誰よりも苦しい思いで演じていたのだろうとも感じられた第10話。変わり果ててしまった健太の姿に涙が止まらないのはもちろん、佐都が傷つきながらも「はばかりながら申し上げます……」と健太に面と向かって別れを切り出すシーンでさらに胸が痛む。
決して理想的な環境ではなかったかもしれないが、どうにか関係を保ってきた深山家。しかしここにきて明人(尾上松也)は深山家を潰すことを目論んでおり、美保子(松本若菜)は離婚の危機に。佐都は凛を連れて家を出てしまい、圭一に従い続けてきた久美まで激昂し本音をぶちまけた。そして極め付けは健太の記憶喪失だ。深山家は、ついに崩壊の危機に瀕することに。深山家の幸せを、そして佐都と健太の幸せを願い、ここまで見守ってきただけに、なんとかこの一族に明るい未来が訪れてほしいと願ってやまない。次回はいよいよ最終話。それぞれの幸せを祈りながら、物語のクライマックスを見届けたいと思う。
■放送情報
木曜劇場『やんごとなき一族』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00~22:54放送
出演:土屋太鳳、松下洸平、尾上松也、松本若菜、渡邊圭祐、松本妃代、馬場ふみか、佐々木希、石野真子、倍賞美津子、木村多江、石橋凌ほか
原作:こやまゆかり『やんごとなき一族』(講談社『Kiss』連載)
脚本:神森万里江、青塚美穂
演出:田中亮、三橋利行、水戸祐介
音楽:木村秀彬
主題歌:milet「Walkin’ In My Lane」(SME Records)
挿入歌:wacci「恋だろ」(Sony Music Labels)
プロデュース:宋ハナ
制作プロデュース:古郡真也
協力プロデュース:三竿玲子
制作協力:FILM
制作・著作:フジテレビ
(c)フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/yangoto
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