『持続可能な恋ですか?』が描いた“結婚”とは 晴太と杏花の“私たちらしい”道に幸あれ

『持続可能な恋ですか?』が描いた“結婚”

 晴太も当初は、林太郎が元々書いた「結婚」の語釈=“愛し合う男女が、正式に一緒に生活するようになること”に縛られすぎていたのだろう。それはきっと虹朗に対して両親が一堂に介する“普通”の生活を与えられていない、という勝手な自身の負い目からかもしれない。「一番欲しいものを手に入れたことがない」晴太だからこそ、杏花には自分の夢を諦めないでとエールを送っていたが、彼は人一倍責任感が強すぎるのかもしれないし、懸念事項が全てクリアになり、全部を見通せている状態でないと物事を進められないタイプだったのかもしれない。それは相手を思いやっているようでいて、実はかなり独りよがりでもある。

 そんな彼が、“結婚”を「今の気持ちが10年、20年、30年永遠に続くって信じて、こういうところで誓うって冷静に考えたらもう無茶な話」だとし、「結婚すること自体普通じゃない」と思い至る。だからこそ、“結婚”という2文字が持つ固定観念に自分たちを押し込めて当てはめようとするのではなく、むしろその時々で自分たちらしくアレンジし続けていこうと思い改め、“結婚”を自分たちらしい形に手繰り寄せようとする。彼らのやり取りから改めて契約に甘んじて胡座をかくことなく、関係性とは常に更新しアップデートしていく必要があるものだという根本に立ち返る必要性に気づかされる。何の努力もなしに永遠に愛情が続くなんてことはないのだ。

『持続可能な恋ですか?』10話

 さて、杏花と結婚した晴太は何と仕事も変え、夢だったカレー屋を始めているではないか。随分軽やかになった晴太と杏花、そして虹郎の“二度とない毎日”がこれからも更新され続けますように。互いに合わせ鏡になって“自分らしく”“私たちらしい”道を歩み続けられますように。

■配信情報
火曜ドラマ『持続可能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲~』
Paravi、TVerにて全話配信中
出演:上野樹里、田中圭、磯村勇斗、ゆりやんレトリィバァ、井川遥、水崎綾女、清水くるみ、武田玲奈、鈴木康介、松重豊、鈴木楽、柚希礼音、八木亜希子
脚本:吉澤智子
演出:土井裕泰、山室大輔、小牧桜、加藤亜季子
プロデュース:中島啓介、吉藤芽衣
主題歌:幾田りら「レンズ」(ソニー・ミュージックエンタテインメント)
製作著作:TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/jizokoi_tbs/
公式Twitter:https://twitter.com/jizokoi_tbs
公式Instagram:https://www.instagram.com/jizokoi_tbs

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