『バズ・ライトイヤー』北米で低調な滑り出しの原因は? 夏の映画興行に早くも一波乱

『バズ・ライトイヤー』北米で低調な滑り出し

 さらにディズニーは、実写・アニメーションを問わず、大多数の配給作品を劇場公開の約45日後にディズニープラスにて配信する戦略を採っている。すなわち熱心なディズニーファンほど、新作が比較的すぐに配信されることを知っているわけで、そこで「どうしても劇場で観たい」という意欲をかきたてることができなければ、小さくない層が「配信で観る」という選択肢を採ったとしてもさほど不思議ではない。

 その点で言えば、あくまでも劇場公開にこだわり、大スクリーンならではの映像体験で広い層にアピールした『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』や『トップガン マーヴェリック』が快進撃を続けているのも自然なことだろう。前者は前週比-59.6%という大作映画らしい下落率となったが、3日間で5866万ドルを記録。後者は公開4週目ながら前週比-15.1%という粘り強さで4400万ドルを稼ぎ出し、第3位にランクインした。

 世界興収に目を移してみると、『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』が早くも6億2218万ドルという大台を突破し、『トップガン マーヴェリック』の8億8518万ドル、そして『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』の9億4248万ドルがその先を行っている。この熾烈な争いに、『ミニオンズ フィーバー』、『ソー:ラブ&サンダー』がいかなるスタートダッシュをもって参戦してくるかが今後の見どころ。先週は『ジュラシック・ワールド』が今夏最大のヒットになると予測されていたが、必ずしもそうとは言えない状況であることも、今年の夏休み興行を追いかける面白さだと言える。

 なお北米で6月20日(月曜日)は奴隷解放記念日(ジューンティーンス)であり、政府の祝日にあたる。したがって『バズ・ライトイヤー』を含むすべての公開作には、週末の3日間にとどまらないジャンプアップの機会があるわけだ。さて、この“プラス1日”が戦局をどう分けることになるか。

北米映画興行ランキング(6月17日〜6月19日)

1.『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』
5866万ドル/4697館/累計2億4979万ドル/2週/ユニバーサル

2.『バズ・ライトイヤー』
5100万ドル/4255館/累計5100万ドル/1週/ディズニー

3.『トップガン マーヴェリック』
4400万ドル/4035館/累計4億6616万ドル/4週/パラマウント

4.『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』
420万ドル/2465館/累計4億508万ドル/7週/ディズニー

5.『The Bob’s Burgers Movie(原題)』
110万ドル/1350館/累計2976万ドル/4週/20世紀スタジオ

6.『バッドガイズ』
98万ドル/1477館/累計9423万ドル/9週/ユニバーサル

7.『Everything Everywhere All at Once(原題)』
95万ドル/679館/累計6492万ドル/13週/A24

8.『Downton Abbey: A New Era(原題)』
83万ドル/1179館/累計4219万ドル/5週/Focus Features

9.『ソニック・ザ・ムービー/ソニック VS ナックルズ』
22万ドル/439館/累計1億9047万ドル/11週/パラマウント

10.『Brian and Charles(原題)』
19万ドル/279館/累計19万ドル/1週/Focus Features

(※Box Office Mojo調べ。データは6月20日未明時点の速報値であり、最終確定の数値とはやや誤差が生じる可能性があります)

参照

https://www.boxofficemojo.com/weekend/2022W24/
https://variety.com/2022/film/box-office/box-office-lightyear-disappoints-1235298248/
https://www.hollywoodreporter.com/movies/movie-news/lightyear-box-office-jurassic-world-dominion-1235168205/
https://deadline.com/2022/06/lightyear-box-office-2-1235047729/
https://deadline.com/2022/06/lightyear-jurassic-world-dominion-top-gun-maverick-tom-cruise-china-global-international-box-office-1235048336/

■公開情報
『バズ・ライトイヤー』
7月1日(金)全国ロードショー
監督:アンガス・マクレーン
製作:ギャリン・サスマン
日本版声優:鈴木亮平(バズ・ライトイヤー)、今田美桜(イジー)、山内健司・かまいたち(ソックス)、三木眞一郎(モー)、磯辺万沙子(ダービー)、銀河万丈(ザーグ)、沢城みゆき(アイヴァン)、りょう(アリーシャ)
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
(c)2022 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

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