二宮和也、多部未華子、玉木宏ら 『マイファミリー』は同世代俳優の共演が見どころに

『マイファミリー』同世代俳優の共演

 『マイファミリー』も家族や身近な友人との関係がストーリーの中心になっている点で従来の作品の延長線上といえる。しかし、『マイファミリー』では主に鳴沢温人とその家族、鳴沢家をめぐる数組の夫婦の間で物語が展開する。職場の同僚である香菜子(高橋メアリージュン)や事件解決に執念を燃やす刑事の葛城(玉木宏)は、あくまでアウトサイダー的な立ち位置だ。この点で、ホームドラマとサスペンスの外観をまといながら世代間のヒエラルキーを排した『マイファミリー』は日曜劇場の特異点と言ってよい。

 そのことを示しているのが警察が関知しない営利誘拐であり、作中で大学時代の同級生とその家族、友人たちの心情が色濃く描かれることになる。こうした物語の建付けにキャスティングも即応し、二宮、多部、賀来、濱田、玉木、高橋に蓮佛美沙子や松本幸四郎、迫田孝也まで人気・実力を兼ね備えたキャストが一堂に顔を揃える。その光景は従来の日曜劇場からの世代交代を強く印象付けるものだ。

 各自の起用も過去の実績などを踏まえて、十分に検討・考慮された様子が窺われる。二宮は『ブラックペアン』(TBS系)で日曜劇場の主演を経験。賀来は『半沢直樹』第2シリーズと『TOKYO MER ~走る緊急救命室~』(TBS系)で主要キャラを演じ、日曜22時30分枠の『今日から俺は!!』(日本テレビ系)や『ニッポンノワール-刑事Yの反乱-』(日本テレビ系)で主演を務めた。多部は2016年7月期の日曜劇場『仰げば尊し』(TBS系)で寺尾聰演じる主人公の娘役を演じたほか、火曜ドラマ『私の家政夫ナギサさん』(TBS系)で若い世代の共感を得た。玉木も『極主夫道』(読売テレビ・日本テレビ系)でそれまでにないユーモラスな一面を披露した。

 他局の出演歴を含む実績のあるキャストを起用することで、従来の日曜劇場に慣れ親しんできた層だけでなく、前後する時間帯や他の曜日から新たな視聴者の流入が見込まれる。出演者と同年代の視聴者に訴求することはマーケティングの観点からも合理性があり、挑戦的な作風はドラマの進化と新陳代謝を促進する。手堅さと冒険心の好循環がドラマの伝統枠を支えている。

■放送情報
日曜劇場『マイファミリー』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:二宮和也、多部未華子、賀来賢人、高橋メアリージュン、大友康平、神野三鈴、迫田孝也、那須雄登(美 少年/ジャニーズJr.)、山田キヌヲ、 渡辺邦斗、藤間爽子、大島美優、松本幸四郎、富澤たけし(サンドウィッチマン)、濱田岳、玉木宏
脚本:黒岩勉
演出:平野俊一
プロデューサー:飯田和孝、渡辺良介(大映テレビ)
スーパーバイジングプロデューサー:那須田淳
協力プロデューサー:大形美佑葵
音楽:大間々昂
主題歌:Uru「それを愛と呼ぶなら」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
製作著作:TBS
(c)TBS

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる