濱田岳「思い出すだけで苦しい」 『マイファミリー』東堂の人生をかけた第8話に寄せて

濱田岳、『マイファミリー』東堂を演じる壁

 二宮和也主演『マイファミリー』(TBS系)の第7話で衝撃の自白をしたのは、東堂(濱田岳)だった。

「俺が誘拐した」

 これまで、鳴沢友果(大島美優)、三輪優月(山崎莉里那)、阿久津実咲(凛美)、そして東堂心春(野澤しおり)、4人の誘拐事件が起こっている本作。第8話では、東堂が犯行に至った理由やその一部始終が明らかにされることだろう。最愛の娘・心春が誘拐され、苦しみを誰よりも知っている東堂が、なぜ“誘拐”に至ってしまったのか。

 今回、リアルサウンド映画部では、東堂を演じる濱田岳にインタビュー。「東堂の人生のすべてをかけた第8話」と語る、“東堂回”への思いを聞いた。(編集部)

「東堂つらいよな、頑張れよ」

――東堂はすごく難しい役だと思いますが、その中でも特に悩むようなシーンはありましたか?

濱田岳(以下、濱田):まず最初に壁に当たったのは、温人の娘である友果ちゃんの救出が成功したとき。あのときは、東堂のいろんなバックボーンにがんじがらめになっていました。2番目が、第4話で「暴露本を書いたのは俺だ」と温人に告白したとき。あのシーンは、本当のことも言ってるし、嘘もついてるんですね。そして、その嘘が温人を騙すための嘘だとすると、とてもとても血の通った人間とは思えない誘拐犯になってしまう。東堂として“犯人じゃないこと=嘘”を演じてしまったら、もうそこで一発アウトだし、本当のことも本当だと思ってもらえない。その微妙なニュアンスが、すごく難しかったですね。でも、第8話は本当に大変でした(苦笑)。東堂の人生のすべてをかけた第8話だと思いますし、東堂の悲しき人生のすべてが詰まっていると思います。

――ぶち当たった壁を乗り越えるのにも、苦しみが伴いそうです。

濱田:東堂は誘拐犯である以上、情状酌量の余地なんてないと思います。でも、その東堂を弁護してあげられるのって、この世に僕しかいないんですよね。なので、東堂と一緒に心を痛めることが大事かなと思っていました。東堂とまったく同じように痛めることはできないけれど、想像してあげることはできるので。「東堂つらいよな、頑張れよ」と思いながら、第4話では本当のことを言いました。そして、東堂と同じように心を痛めながら、温人に嘘をつきました。

――本作は原作のないオリジナル作品ですが、濱田さんご自身が意見したり、アドリブを入れたシーンはありますか?

濱田:第8話は盛りだくさんだと思います。「東堂はここまで言ってるんだから、もうそれは言わないだろう」とか、ト書きのニュアンスを変えたりとか。クライマックスのシーンは、台本には感情をさらけ出すような書き方はされていませんでしたが、東堂は人生の限りをぶつけたと思います。監督にいろいろ相談しましたし、また僕の意見も聞いてくださって。お客様には伝わりづらいですけど、アドリブがいっぱい入っています。ただ、もとのセリフを現場の空気でいじってしまうと、どうしてもサイコパスになってしまう。それでは台本の意図からそれてしまうので、言葉の自由度はすごく低いキャラクターですね。

――ご自身の意見も数多く反映されているということで、作品作りの楽しさを強く感じるようなことも?

濱田:オリジナルドラマという性質上、自分にキャラクターの整合性を保っていく責任がある。原作を見て軌道修正する、ということができないので、それはオリジナルドラマに挑む上で大変なところですね。そうやってキャラクターを預けてくださるからこそ責任重大ですし、またそれが嬉しいことでもあるし、役を育てていく楽しみもあるし。決して楽ではないですけど、楽しいです。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる