『俺の可愛いはもうすぐ消費期限!?』が示す、男女のボーダーレス化 山田涼介の変化に注目

『俺かわ』が示す、男女のボーダーレス化

 さて、本作の主人公・康介はもう見た目が可愛いだけではダメだと、知性や仕事の能力を向上することが重要であることに気づき、必死にエイジングケアに励みながらも奮闘する。そんな彼が、初めての本当の恋をする相手・和泉(芳根京子)が人を内面で見る人間だからこそ得られる気づきによって考えを変えていく。その変化を毎話ごとに追えるのが、本作の魅力だ。特に、新商品のビール「夏浪漫」に合う料理のレシピを考案するという課題を、和泉と共に取り組んだ第3話。一ノ瀬(大橋和也)が考えた「コロッケ」を二人で作ることになるが、そこでこれまで全て完璧にこなし、感情を見せない故に“ロボット人間”と言われてきた和泉が意外と野菜を切るのが下手だったり、不器用だったりすることがわかる。

 「本は表紙で判断してはいけない(Don’t judge a book by its cover)」という英語のことわざがあるように、人は表面的な情報だけで、誰かを理解することはできないし、してはいけない。それと同時に、見てくれが不細工なコロッケでも、「見た目のいびつさは、コロッケの美味しさに、なんら影響を及ぼしていません」という和泉の言葉に、ハッとする康介。彼がこれまで抱えてきた不安や焦燥感は、社会が植え付けてきたルッキズムやエイジズムに基づくものだ。それをいかにして、彼が自分自身の考えを変えや物の見方を変えて乗り越えていくのか、というところに本作の大きな意義を感じる。

 そんな彼の旅路を、少し遅れた“ムズキュン”な初恋というラブストーリーに絡めたり、未来からやってきた自分というSF要素が盛り込まれていたりと、冷静に考えると様々な視点で楽しめる『俺かわ』。特に今、康介が和泉に対する恋心に気づき始めたからこそ、二人の関係性がどのように発展していくのか見守っていきたいところである。

■放送情報
『俺の可愛いはもうすぐ消費期限!?』
テレビ朝日系にて、毎週土曜23:30~0:00放送
出演:山田涼介、芳根京子、大橋和也(なにわ男子)、西田尚美、古田新太、迫田孝也
脚本:田辺茂範
監督:新城毅彦ほか
音楽:井筒昭雄
主題歌:Hey! Say! JUMP「恋をするんだ」(ジェイ・ストーム)
ゼネラルプロデューサー:中川慎子
プロデューサー:峰島あゆみ、尾花典子、森田美桜
制作協力:AOI Pro.
制作著作:テレビ朝日、ジェイ・ストーム
(c)テレビ朝日

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