『ちむどんどん』黒島結菜がまとう“タダモノじゃなさ” 夢を見つけた暢子はどう飛躍する?

『ちむどんどん』黒島結菜の只者じゃなさ

 ヒロイン役を務めた映画『明け方の若者たち』でも、同じく周囲からわかりやすく悪目立ちするわけでもないが、すっかり溶け込んでしまうことも決して流されることもない芯のある“彼女”を好演。 “彼女”との出会いによって、主人公の“僕”(北村匠海)の世界が一気に彩り豊かなものに様変わりしていく。

 出会った瞬間から、目が合った瞬間から何かが始まりそうな予感を感じさせる“タダモノじゃなさ”をまとう。そんな運命的な存在、ミューズ役に黒島はピッタリだ。もちろん『ちむどんどん』の暢子よりも年齢の設定も大人で、かつ下北沢や高円寺の街に違和感なく馴染むサブカル女子ゆえ暢子とは趣向性が随分異なるものの、心の赴くままに振る舞える自由さ、枠にはまらぬ自律心の強さ、身軽さにはなんだか共通点があるように思える。

 ただ、彼女は“秘密”を抱えており、どこか掴めきれなさや憂いが時折ほんの少し顔を出す。その“秘密”の残酷さと身勝手さに絡め取られてしまわぬように、より軽やかに、よりこの時を全身全霊で楽しもうとしているようにも見える。“秘密”を抱えてしまう前の彼女が本来の自分なのか、それとも“秘密”を抱えてからそれに抗おうとする彼女こそがより本来に近い姿なのか。“ずるい”や、ともすれば“嘘つき”の一言で片づけられてしまいかねない”彼女“の揺れ動く内面や迷い、そのグラデーションを嘘なく黒島が見せてくれた。

 さて、『ちむどんどん』ではいよいよ暢子の上京が決まった。暢子はどんな風に自身の夢に近づいていくのか。きっと東京でも、“自分らしさ”を損なわない暢子は、周囲に波紋を与えながらも、相互に影響を及ぼし合い奮闘していくのだろう。

■放送情報
連続テレビ小説『ちむどんどん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
主演:黒島結菜
作:羽原大介
語り:ジョン・カビラ
沖縄ことば指導:藤木勇人
フードコーディネート:吉岡秀治、吉岡知子
制作統括:小林大児、藤並英樹
プロデューサー:松田恭典
展開プロデューサー:川口俊介
演出:木村隆文、松園武大、中野亮平ほか
写真提供=NHK

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