イ・ビョンホンの表現力の幅の広さ 『私たちのブルース』でもキャラクターに深み与える
オムニバス形式で14人のキャラクターが8つの物語を繰り広げる『私たちのブルース』(Netflixで配信中)。人気脚本家ノ・ヒギョンが手がける本作には、韓国を代表する俳優から新人俳優までが集結し、全員が主人公になるだけでなく他のエピソードにも脇役となって登場する。
シン・ミナに続いて紹介するのは、トラックでよろず屋を営むイ・ドンソクに扮するイ・ビョンホン。アジアだけに留まらずハリウッド進出まで果たした韓国を代表する役者だ。作品ごとに新たな顔を見せ、進化し続ける彼は私たちをいつも魅了させる。今でも第一線で活躍するイ・ビョンホンの勢いは止まることを知らない。
『冬のソナタ』をきかっけに韓流ブームが巻き起こったのは2004年頃。韓国のエンタメが注目され、ぺ・ヨンジュン、チャン・ドンゴン、ウォンビンと共に“韓流四天王”とうたわれた。ポリティカルサスペンス『JSA』(2000年)や韓国ノワールの代表的な1作でもある『甘い人生』(2004年)で高い演技評価を受け、着実に映画界での地位を確立していく。2009年には『G.Iジョー』でハリウッドへ。『ターミネーター:新起動/ジェニシス』(2015年)などに出演しワールドスターとなった。アクション、サスペンス、時代劇、ロマンスなどのジャンルを問わず、人間味のある役から影のある役、暗殺者やコミカルな役どころまで何者にもなってしまう表現力の幅の広さが、イ・ビョンホン圧倒的な存在感をもたらしている。
例えば、『悪魔を見た』(2011年)では愛する婚約者を連続殺人鬼に殺され狂気に満ちた復讐劇を見せ、『それだけが、僕の世界』(2018年)では、落ちぶれた元ボクサーの不器用な優しさで涙を誘う。ドラマでは『ミスター・サンシャイン』(2018年)が印象深く、最高名門家の令嬢エシン(キム・テリ)を慕う米軍海兵隊の大尉のユジンを務めたイ・ビョンホン。純愛を貫いた壮大なラブロマンスを創り上げ、大きな余韻を残す大作となった。
近年の主演映画である『白頭山大噴火』と『KCIA 南山の部長たち』は、2019年と2021年に日本でも公開され、2022年にはパク・ソジュン、パク・ボヨンらと共演する『Concrete Utopia(英題)』が公開予定(日本での公開は未定)で、近年も精力的に活動中だ。