『正直不動産』ハートフルな物語にサスペンスの要素加わる キーパーソンは市原隼人?

『正直不動産』ハートフルからサスペンスに?

 ミネルヴァ不動産との対立が深まる中、『正直不動産』(NHK総合)の第5話では、月下(福原遥)が父親と偶然の再会を果たす。一方で、永瀬(山下智久)はミネルヴァ不動産が登坂不動産にスパイを送り込んでいることに気づくのだった。家族と住まいを描いたハートフルな物語には、サスペンスの要素が加わり始める。

 永瀬は、自身のデータファイルに何者かがゲストとしてアクセスしていることに気付く。ミネルヴァが送り込んだスパイではないかと疑うものの、確固たる証拠を掴めずにいた。そんな中、登坂不動産には離婚して以来、離ればなれに暮らしていた月下の父・昌也(加藤雅也)が家を探しにやってくる。月下は父親のために良い家を探そうと張り切るものの、昌也は一足先にミネルヴァの物件で内見を決めてしまっていた。だがここで永瀬が、物件は欠陥住宅であると見抜き、昌也の契約を阻止するのであった。

 これまでの『正直不動産』で詳細に描かれてきた月下のバックボーンが回収され、新たなステップへと進む予感を感じさせた第5話。月下がなぜ不動産屋に勤めようと思ったのか、なぜここまでカスタマーファーストにこだわるのか、こうしたキャラクターを福原遥が丁寧に演じてきただけに、「父が家を探していたのは、再婚する家族と住むためだった」というエピソードが視聴者の胸をえぐる。しかし、これだけ悲しい場面にもかかわらず、福原が涙ながらに家への持論を父親に説く姿勢や、今の自分は母親と共に幸せに暮らしているという語りは、不思議と見守る気持ちで聞くことができた。元気はつらつとした姿を貫き、厳しい不動産業界でも初めから売上ではなく自分のポリシーを貫いてきた月下が、いかに立体的なキャラクターとして、永瀬だけでなく視聴者の心まで支える存在かが伝わってくる。これまで笑顔をトレードマークに一歩ずつ努力を重ねてきた月下の、心の強さがしっかりと感じられるシーンとなった。

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