『ちむどんどん』上白石萌歌が秘めるたくましさ 姉・萌音とは対照的な“陽”の魅力を発揮

『ちむどんどん』上白石萌歌のたくましさ

 石田ゆり子と石田ひかり、市川実和子と市川実日子、広瀬アリスと広瀬すずなど、見た目や雰囲気は似ているが、それぞれ異なる魅力で活躍中の俳優姉妹が存在する。2021年後期放送の連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』(以下、カムカム/NHK総合)で初代ヒロイン・安子役を務めた上白石萌音と、現在放送中の『ちむどんどん』でヒロイン・暢子(黒島結菜)の妹である歌子を好演している上白石萌歌もそうだ。

 現在、姉の萌音は橋本環奈と共にW主演を務める舞台『千と千尋の神隠し』で全国ツアー中。一方、妹の萌歌は朝ドラ初出演に加え、先日放送開始となったドラマ『金田一少年の事件簿』(日本テレビ系)の新シリーズで5代目ヒロインの美雪役に抜擢されるなど、ますます姉妹の躍進に拍車がかかる。

 これまで“妹”が“姉”の背中を追いかける形で人気俳優への階段を駆け上がってきた上白石姉妹。2016年にはミュージカル『赤毛のアン』で、萌歌が前年に萌音が演じていた主人公のアン・シャーリー役で主演を務めることに。また萌音は新海誠監督作『君の名は。』(2016年)、萌歌は細田守監督作『未来のミライ』(2018年)で立て続けに声優デビューを果たしている。ともに歌手としても(萌歌は「adieu」名義で)本格的な活動をスタートさせたが、どれ一つとっても中途半端なものはない。

 そんなマルチな才能を持つ姉妹に世間の注目が集まったのが、映画『羊と鋼の森』での初共演。2人は性格も、奏でる音色も真逆の高校生ピアニストの姉妹を演じた。萌歌が天才肌で明るい性格の妹・由仁、萌音はそんな妹に対して劣等感を抱く大人しく繊細な姉・和音を演じたのだが、それぞれの役が2人の後の俳優人生における芝居の方向性を決定づけたように思う。

 2018年にドラマ『義母と娘のブルース』(TBS系)で綾瀬はるか演じる主人公の血の繋がらない娘・みゆきを演じた萌歌。弾けるような笑顔や天真爛漫な演技が心地よく、瞬く間にお茶の間の人気者となった。その2年後には、萌音が『恋はつづくよどこまでも』(TBS系)で恋に、仕事に一直線な新米ナースの主人公を好演して大ブレイク。どちらも「ピュアな芝居に滲む、芯の強さ」が印象的で、それが彼女たちの老若男女から愛されるヒロイン力を構成しているといえよう。しかし、強さの種類が『羊と鋼の森』の和音・由仁と同じように姉妹で異なり、萌音は“陰”の強さ、萌歌は“陽”の強さを放っている。

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