『ジュマンジ/ネクスト・レベル』は前作からの“強くてニューゲーム” 俳優陣の名演が光る

『ジュマンジ3』は前作からの“周回プレイ”

 シリーズ3作目では、かつて共に協力しあって「ジュマンジ」から脱出した4人の登場人物たちはみな進学し、大学生になっている。スペンサー(アレックス・ウルフ)とマーサ(モーガン・ターナー)は恋人同士だが、大学進学後は遠距離恋愛の関係となり、お互いの意思疎通がうまくいかないのが悩み。精神的な絆も弱まり、やがて疎遠になっていくふたり。ある日スペンサーの行方がわからなくなり、居場所を探す3人は、彼がふたたび、テレビゲーム「ジュマンジ」の世界へ戻ってしまったことを知る。なぜスペンサーは、命からがら脱出した「ジュマンジ」にふたたび戻ったのか。友人を救うため、彼らは揃って「ジュマンジ」の世界へまたしても乗り込んでいくのだった。

 3作目のおもしろさは、登場人物は2作目で一度「ジュマンジ」をクリアした経験がある、という脚本上の設定だ。これは、ゲーム好きにとってはおなじみの「周回プレイ」(1度クリアしたゲームをもう一度最初から遊びなおすこと)である。テレビゲームを題材にした映画の続編らしい、おもしろい設定ではないだろうか。では登場人物たちは「強くてニューゲーム」(同じゲームの2周目を遊ぶ際、1周目で得た経験や強さを引き継ぐという意味のゲーム用語)で余裕のクリアができるのか。ところがそうかんたんにクリアさせてはくれず、登場人物たちは大いに悩むこととなる。各キャラクターに得意技が準備されているとか、特定のポイントでキャラクター変更ができるなど、いかにもゲームでありそうな展開が準備されているのもおもしろい部分だ。

 本作の魅力は何より、ゲームキャラクターの内面が老人になったり、女子大学生になったりと目まぐるしく変化していく設定のなか、その都度、別の人格になりきって演技する俳優の変貌する姿ではないか。わけてもジャック・ブラック演じる大学生の女の子は絶品であり、ここまで憑依できてしまうものか、という驚きを感じさせてくれた。肩の凝らない娯楽作であり、のんびり鑑賞できるコメディとして楽しんでほしい映画だ。できれば前作も予習してから観てみてほしい。

■放送情報
土曜プレミアム 映画『ジュマンジ/ネクスト・レベル』
フジテレビ系にて、4月30日(土) 21:00~23:25放送 ※15分拡大
出演:ドウェイン・ジョンソン(楠大典)、ジャック・ブラック(高木渉)、ケヴィン・ハート(伊藤健太郎)、 カレン・ギラン(白石涼子)、ニック・ジョナス(KENN)、 ダニー・デヴィート(浦山迅)、ダニー・グローヴァー(加山雄三)、オークワフィナ(ファーストサマーウイカ)
監督・脚本:ジェイク・カスダン
脚本:ジェフ・ピンクナー
脚本:スコット・ローゼンバーグ
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