『魔女の宅急便』は大人になった今こそ見返したい名作 キキが経験する“面倒くさい”の意義

『魔女の宅急便』大事なことは“面倒くさい”

 独り立ちしてからのキキの人生は、“面倒くさい”出会いの連続である。仕事もそう、いちいち一喜一憂してしまう周りの反応も、トンボと知り合ってからなぜかモヤモヤしている自分自身もそう。ずっとパパやママに守られたままでいれば、「味わわずに済んだ」こと。でも言い換えれば、「味わえなかった」ことでもある。

 知らない世界に飛び込み、人生の酸いも甘いも経験することになるキキ。そんな彼女を囲うのが、画家の夢を追う18歳のウルスラ、結婚し出産を控える26歳のおソノさん、独り立ちする娘を見送った37歳の母・コキリ、孫のためにパイを焼いたりして余生を過ごす70歳の老婦人と、各年代を生きる女性たちだ。特にウルスラはキキと一番年が近く、魔法が使えなくなった彼女に大きな影響を与えることに。スランプの時もジタバタもがきながら絵を描き続けるウルスラの姿は、面倒くさい、面倒くさいと言いながら絵コンテを描く宮崎監督の姿にも重なる。大事なことはたいてい面倒くさい。それを実感するような出来事が、本作のラストに訪れる。

 オープニングと同じく松任谷由実が歌うエンディングテーマ「やさしさに包まれたなら」の歌詞を借りるのであれば、本作は一人の女の子が「神様がいて不思議に夢を叶えてくれた」幼少期から飛び出し、「大人になっても奇跡は起こる」ことを知って成長していく姿を描いた物語だ。今日からゴールデンウィークが始まり、しばらく休んだ後はまた“面倒くさい”ことの連続の日々が始まる。でも『魔女の宅急便』を観れば、少しはため息ばかりの自分を奮い立たせることができるかもしれない。

※宮崎駿の「崎」はたつさきが正式表記。

■放送情報
『魔女の宅急便』
日本テレビ系にて、4月29日(金)21:00~23:09放送
※放送枠15分拡大 ※ノーカット放送
監督・脚本・プロデューサー:宮崎駿
原作:角野栄子
音楽:久石譲
声の出演:高山みなみ、佐久間レイ、信沢三恵子、戸田恵子、山口勝平、関弘子、三浦浩一、加藤治子
(c)1989 角野栄子・Studio Ghibli・N

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