『オッドタクシー』は愛憎渦巻く作品に? 此元和津也が語る、“脚本家”としての矜持
「『ドラえもん』の中にこの世のエンターテインメントのすべてが入っている」
——漫画家と脚本家、ふたつの肩書きをお持ちですが、それぞれの面白さを教えてください。
此元:漫画は間も演出も構図も全て自分ひとりでコントロールして、誰も自分の領域に入れずに完結させる圧倒的な個の力。一方で脚本は、それぞれのプロが分業でパフォーマンスすることによって得られる相乗効果みたいなもの。それが、それぞれの面白いところかなと思います。
——此元さんがこれまで触れてこられたエンターテインメント作品で、特に影響を受けているものを挙げるとしたら何ですか?
此元:『ドラえもん』です。影響を受けたというか真似できるたぐいのものではないですが、『ドラえもん』の中にこの世のエンターテインメントのすべてが入っているんじゃないかなと思います。子供の頃に読んだ果てしなく壮大に思えた1話が、たった8ページの作品だったりして、今読むとただただ驚きが勝ります。
——『オッドタクシー』はご自身の中でどのような立ち位置の作品になりましたか?
此元:今はまだ渦中にいるので、愛憎渦巻いてる状態ですが、いつか振り返れば特別で思い出深い作品になっていると思います。脚本家として未知数な段階で声をかけてもらったことが単純に嬉しくて、その期待に応えたい、貢献したいという意味で作品に対しての思い入れは強くあります。その反面、一球入魂で「これで完成。さあ次!」と切り替えたタイミングで細々としたものから負担の大きいものまで作業が舞い込んでくるので、一時期、書き下ろしという言葉が嫌いになりました。ひとりで作ったものならビジネスより気持ちを優先させますが、コンテンツが大きくなっていくという認識も覚悟もなかったので、ありがたいことだとはわかっていますが、そういった面での戸惑いから愛憎渦巻いています。こうして言語化するとガチっぽくなってしまいましたが半分冗談です(笑)。
——アニメ作品には今後も取り組んでみたいと思いますか? また取り組んでみたいみたいジャンルなどはありますか?
此元:機会があればやってみたいと思います。ジャンルにこだわりはないですが、漫画でも実写でも人形劇でもなんでもいいので、できれば現実と地続きで、その時面白いと思ったものをどんどん書いていけたらなと思います。
■公開情報
『映画 オッドタクシー イン・ザ・ウッズ』
全国公開中
花江夏樹、飯田里穂、木村良平、山口勝平、三森すずこ、小泉萌香、村上まなつ、昴生(ミキ)、亜生(ミキ)、ユースケ(ダイアン)、津田篤宏(ダイアン)、たかし(トレンディエンジェル)、村上知子(森三中)、浜田賢二、酒井広大、斉藤壮馬、古川 慎、堀井茶渡、汐宮あまね、神楽千歌、虎島貴明、METEOR
企画・原作:P.I.C.S.
脚本:此元和津也(P.I.C.S. management)
監督:木下麦(P.I.C.S.)
アニメーション制作:P.I.C.S. × OLM
配給:アスミック・エース
製作:映画小戸川交通パートナーズ
(c)P.I.C.S. / 映画小戸川交通パートナーズ
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