「人生を恐れないで」戸次重幸の言葉が響く『ちむどんどん』 稲垣来泉の圧巻の演技も

『ちむどんどん』史彦の言葉が胸に響く

 民俗学とは、その地域に住む人々の「思い出」だと語る史彦。思い出はお金にはならないし、経済を回すこともできない。しかし、辛い時や間違った道に足を踏み入れそうになったとき、この島での思い出が正しい道に導いてくれる。「思い出は必ず、人それぞれで違う。その違いを知り合って、尊重すること。そうすることで幸せな未来を築くことができる」という彼の金言は、テレビ越しの我々にも刺さるものだ。

「どうか、人生を恐れないでください。人生は幸せになろうとする道のりです。明日は、今日よりも幸せになる。その信念を思い出が支えてくれる」

 その言葉を受け取った暢子は、自分の選択が自分の人生の、そして大切な家族の人生を幸せに導くものだと信じて「うちが行く」と申し出る。賢吉が子供の前であるにも関わらず、優子に詰め寄った地獄のような時間。そして兄や姉が東京行きを嫌がり、自ら決断を下さざるを得なくなった暢子。この一連のシーンでの稲垣来泉の表情の演技は、圧巻そのものだった。おそらく、暢子としての彼女の活躍を見られるのは今週いっぱいとなりそうだが、東京に行くその日まで見守っていたい。

■放送情報
連続テレビ小説『ちむどんどん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
主演:黒島結菜
作:羽原大介
語り:ジョン・カビラ
沖縄ことば指導:藤木勇人
フードコーディネート:吉岡秀治、吉岡知子
制作統括:小林大児、藤並英樹
プロデューサー:松田恭典
展開プロデューサー:川口俊介
演出:木村隆文、松園武大、中野亮平ほか
写真提供=NHK

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