『カムカム』なぜ安子は経歴を隠したのか? 母から娘へ祈りを込めた「おいしゅうなれ」
アニーが安子であることは随所で示唆されていたが、安子が生きていたという事実は、感動を通り越してどう受け止めていいかわからないというのが多くの視聴者の本音かもしれない。安子はなぜ自らの経歴を隠したのだろう?
「きっとあなたをどこか思いもよらない場所まで連れて行ってくれますよ」
かつてロバート(村雨辰剛)が安子にかけた言葉だ。安子は日系アメリカ人のアニーになることで過去を断ち切ろうとした。母語の日本語を捨て、英語を自らの言語とすることで新しい人生を始めた。だが、忘れることはできなかった。あんこの味を忘れず、長いこと話さなくても岡山言葉が口をついて出るように、母である限り我が子を忘れることはない。安子はるいに会いたいと願いながら、52年もの時間を過ごしてきた。安子≒あんこ≒アニーとあえて名乗ったのは、るいに見つけてほしいという願望も混じっていたのではないか。
あの日から約半世紀。電波がラジオに乗って伝わるように母の願いは娘に届き、100年にわたる物語が終幕を迎える。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:上白石萌音、深津絵里、川栄李奈ほか
脚本:藤本有紀
制作統括:堀之内礼二郎、櫻井賢
音楽:金子隆博
主題歌:AI「アルデバラン」
プロデューサー:葛西勇也・橋本果奈
演出:安達もじり、橋爪紳一朗、松岡一史、深川貴志、松岡一史、二見大輔、泉並敬眞ほか
写真提供=NHK