『カムカムエヴリバディ』深津絵里は“愛”と“赦し”のヒロインに るいと共に歩んだ60年

『カムカム』深津絵里は愛と赦しのヒロイン

 その道中、2人の間にひなた(幼少期:新津ちせ/川栄李奈)が生まれ、ヒロインが交代して以降もるいの物語は並行して描かれ続けた。地道な努力が苦手で、幼い頃は挫折を繰り返してきたひなた。そんな娘の子育てに当初は頭を悩ませていたるいだが、決してその手を離そうとはしなかった。ひなたが何をやっても長続きしない自分に苛立ち、両親に八つ当たりして家を飛び出した時も、るいは「ええんや。子供は子供で、いろんなこと抱えてるもんや」と朗らかな笑顔で娘の謝罪を受け入れた。きっと、ひなたの姿が寂しさから「I hate you」という言葉で安子を傷つけてしまった幼き日の自分と重なったのだろう。どんなに拒絶しても、抱きしめ、離さないでいて欲しかったという願いをるいは自ら叶えた。

 あの時、扉を閉めて母親からの愛情をひたすら求め続けていた小さな女の子はもういない。誰かの間違いを赦し、「あなたにも日向の道を」と絶え間ない愛を注いできた女性がそこにいる。まるで暗闇をポッと照らす月明かりのような優しさに、そして、そんな優しさが形になったような回転焼きに、色んな人が救われてきた。だからこそ、るい自身が犯してしまった“間違い”にも赦しが与えられる日を願わずにはいられない。その瞬間は、きっと私たちにも大きな希望を与えてくれるはずだ。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:上白石萌音、深津絵里、川栄李奈ほか
脚本:藤本有紀
制作統括:堀之内礼二郎、櫻井賢
音楽:金子隆博
主題歌:AI「アルデバラン」
プロデューサー:葛西勇也・橋本果奈
演出:安達もじり、橋爪紳一朗、松岡一史、深川貴志、松岡一史、二見大輔、泉並敬眞ほか
写真提供=NHK

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