『カムカム』ひなたと五十嵐の恋は少女漫画の王道パターン 2人の今後は錠一郎がカギに?

『カムカム』ひなたの恋は、錠一郎がカギに?

 ただこれから心配なのが、安子もるいも相思相愛になってから、一度距離を置く出来事があったこと。安子は家柄や後継の問題でお互いの両親に交際を反対され、るいは錠一郎が東京でのデビューが決まり上京するも、原因不明の病気でトランペットが吹けなくなり、今の自分ではるいを不幸にすると何度も突き放された。また、三世代に共通しているのは、相手を支えたいという性格。安子に関しては時代のせいもあるが、錠一郎が20年以上無職(?)というのは、るい自身が満足しているとはいえ、傍から見れば男運のない家系だと感じる。それを考えると、斜陽の時代劇にこだわり続け、仕事が減る一方の五十嵐ともし結婚することになれば、るいのようにひなたが家計を支え、苦労の耐えない人生になりそうだ。

 もしくは、錠一郎がトランペットを吹けなくなった時のように、俳優業がうまくいかない五十嵐は、愛情表現が苦手な故に、ひなたのことを思って何も言わず突き放すかもしれない。ただ先代の2人とは違い、ひなたには相談できる家族が現存していることが大きく、実際、ひなたが五十嵐のために回転焼きを作った時は、一度拒否した五十嵐に対し、るいの助太刀があったことでひなたの努力が伝わり、相思相愛になるきっかけとなった。もし仕事で2人の仲が壊れるようなことがあれば、そこは挫折を経験をしている錠一郎の出番。父親として、また1人の男としての体験談を話すのではないかと思う。いずれにせよ、ここにきて錠一郎の存在が大きなカギを握るのではないかと予想され、その行き着く先に、娘か息子のためにトランペットを吹く日が来てもおかしくない。

 戦後とは違い、平成に入ったこの物語では、男女や理想の家庭の価値観が多少なり変化がある。結婚しない選択肢だってあるが、ひなたは何を思って着地点とするのか。ただ、三世代を紡ぐヒロインのアンカーが愛情いっぱいに幸せになってもらわないと、単に安子から続く辛い物語になってしまう。そして今週は、二代目桃山剣之介(尾上菊之助)が、親である初代に対しての長きに渡る確執、そしてモモケンと伴虚無蔵の20年のわだかまりが解消される話となったが、これが安子とるいが和解する伏線となるのか。ひなたの恋愛模様だけでなく、るいの今後にも注目だ。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:上白石萌音、深津絵里、川栄李奈ほか
脚本:藤本有紀
制作統括:堀之内礼二郎、櫻井賢
音楽:金子隆博
主題歌:AI「アルデバラン」
プロデューサー:葛西勇也・橋本果奈
演出:安達もじり、橋爪紳一朗、松岡一史、深川貴志、松岡一史、二見大輔、泉並敬眞ほか 
写真提供=NHK

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