『妻、小学生になる。』毎田暖乃から消えた貴恵の面影 愛を知るほどに大きくなる絶望
ここ数話、ラスト数分でゾワッとする演出が続いていた金曜ドラマ『妻、小学生になる。』(TBS系)。だが、今回の女優・毎田暖乃が見せた“貴恵から万理華へ魂が切り替わったと人目でわかる”名演技こそが、最も鳥肌を立たせるものだったように思う。
それは、圭介(堤真一)の言葉を借りるなら「どれだけこの先年を取っても今年が一番幸せな年だった」と振り返りたくなるほど満ち足りた大晦日のことだった。年明けのタイミングで倒れた万理華(毎田暖乃)。目を覚ますと、そこに貴恵(石田ゆり子)の面影はなかった。
「ママ?」。万理華は貴恵になった瞬間から千嘉(吉田羊)のことを「お母さん」と呼んでいた。「おじさん誰?」。もちろん圭介のことは“知らないおじさん“としか認識できない。あの大人びた口調も、お見通しな視線でもない、小学生らしさがにじむ万理華がそこにいた。これは貴恵の魂が抜けて、万理華に戻ってしまったのだろうか。そんな衝撃的な展開で幕を閉じた第7話。
同じように謎の男(水川かたまり/空気階段)が“生まれ変わり“をしていたと思われる中学生の天才小説家・出雲(當真あみ)を振り返ると、貴恵はこの世での心残りが解決されたのかもしれない。
貴恵を亡くして以来、ゾンビのように過ごしていた圭介はまた情熱を持って仕事に取り組めるようになった。部屋に引きこもっていた娘の麻衣(蒔田彩珠)も無事に就職し、蓮司(杉野遥亮)との恋もうまく進んでいく予感。
そして、今回新たに明かされた貴恵の心配事は、母・礼子(由紀さおり)のことだった。そもそも一筋縄ではいかない礼子。しかも、そんな礼子の介護なんて、弟・友利(神木隆之介)には抱えきれないとわかっていた。いつか自分が面倒を見ると思っていたにもかかわらず、まさかの事故で先に逝ってしまうとは。ずっとそのことが貴恵の中で悔いが残っていたのだろう。
案の定、実家のことを見て見ぬ振りをしてきた友利。親戚からこれからのことを問われて、飛び出してしまう。まさに「友利、小学生になる。」とでもいじりたくなるような、子供っぽい態度で。それも“いつものパターン“だと貴恵にはお見通しだ。昔からの逃げ場所と思われる隠れ家で、友利を見つけると貴恵の叱咤が始まる。痛いところを突かれ、友利もむき出しの感情で反論。
「なに死んじゃってんだよ」
「そうよ、なんで死んじゃってんのよ、私は」
「なに勝手にいなくなってんだよ」
「いなくなりたくなかったわよ」
「なんなんだよ……姉ちゃんじゃん……姉ちゃんじゃん」
そんなやりとりに、これまで貴恵の生まれ変わりに半信半疑だった友利も確信するしかなかった。目の前の小学生・万理華は、紛れもなく自分の姉の貴恵が生まれ変わっているのだと。