『DCU』中村アン演じる隆子が最後に下した決断 国際共同制作がこれまでにない展開を生む

『DCU』中村アン演じる隆子の最後の決断

 あと少し気付くのが遅ければ、シルバも逃がしてしまうところだった。隆子を無謀な行動に駆り立てたものが焦りから発した暴走であるか、それともDCUの一員としての使命感だったかは、ここでは大きな問題ではない。亡き兄の成合(吉川晃司)の口癖だった、どんな時も冷静であること。隆子は十分冷静だったように見える。自身の行動を客観的に把握した上で、あえて禁を犯して犯人を捕らえようとしたのだから。隆子をよく知る新名は、こうなる可能性も予測して早い段階で隆子を制止しようとしたのではないか。目の前で成合を死なせてしまっただけに、せめて妹だけは助けたかった。だが、その願いは空しく終わった。

 日曜劇場のミューズとなった中村アンが、本作に刻んだとびきりの笑顔を、私たちは忘れないだろう。クールな佇まいから汗が似合うアクティブなキャラクターまで臨機応変に演じ分けてきた中村は、『DCU』序盤のもっとも印象的なアクターだった。隆子の死は、このドラマが失っていく物語であることを知らせている。新名と瀬能は、成合に続いて隆子の死も背負っていくことになる。

 結論を先延ばしにしない展開や各話の連続した構成は、ビンジウォッチング(一気見)されることの多い配信を意識しており、東アジア情勢を踏まえた舞台設定は、世界の中の日本を念頭に置いたもの。いずれも国際共同制作の影響を窺わせる。これまでにない座組が作品の自由度を高めている。

■放送情報
日曜劇場『DCU』
TBS系にて、毎週日曜21:00〜放送
出演:阿部寛、横浜流星、中村アン、山崎育三郎、趣里、高橋光臣、岡崎体育、有輝(土佐兄弟)、高橋颯(WATWING)、佃典彦、春風亭昇太、市川実日子、吉川晃司
プロデューサー:伊與田英徳、関川友理
制作:TBSテレビ
共同制作:ケシェット・インターナショナル、ファセット4メディア
協力:海上保安庁
製作著作:TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/DCU_japan/
公式Twitter: @DCU_japan

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