『ミステリと言う勿れ』整が取り除く、心に積もった影 風呂光役の伊藤沙莉は新境地を開拓
思いもよらぬ事件が、さらに思いもよらぬ事件へと繋がっていく。『ミステリと言う勿れ』(フジテレビ系)第2話は、整(菅田将暉)が巻き込まれたバスジャックの意外な展開と、風呂光(伊藤沙莉)の活躍に目を奪われた。
美術館に行くはずだった整は、バスジャックに巻き込まれてしまう。そこには金髪姿のミステリアスな青年・熊田翔(永山瑛太)も乗り合わせていた。整と乗客らはジャックされたまま、犬堂家の屋敷へと連行される。一方、一係では連続殺人事件の捜査で慌ただしい中、風呂光が現場に参加できずにいたが、一念発起し積極的に捜査に加担しようと聞き込みにまわっていた。そこで明るみになったのは、一貫性がないと思われていた連続殺人の被害者が同じバスの路線を使っていたということ。そしてバスジャックをしている犬堂兄弟の妹の愛珠(白石麻衣)がこの連続殺人事件の1人目の被害者であったことだ。これをきっかけに、うやむやになっていたバスジャック事件の真相に迫ることになる。
男社会の中でなんとか居場所を見つけようと奮闘する風呂光は、ついに現場に呼ばれるまでに成長。体当たりで聞き込みに挑んだ姿勢が青砥(筒井道隆)に評価されたのだった。第1話で整に励まされ、なんとか辞表の提出を取りやめた風呂光は、今や刑事として一歩ずつ前進している。風呂光を演じる伊藤沙莉は、これまで勝ち気で積極的な役が多かったが、今回はかなり控えめなキャラクターに挑戦し新境地を切り拓く。さりげない視線や首の傾げ方で、内向的な風呂光が徐々に前を向うと奮闘する“変化”の兆しを繊細に表現した。整の言葉に救われる立場だった風呂光は、第2話にして一転、バスジャックにあった整の居場所を突き止め、助けに向かうまでに急成長。今後の整との関わりにも注目していきたい。
さらに今回も整の淡々とした語り口は健在。バスに乗り合わせた乗客は皆、心に小さな痛みを抱えていた。そんな人々の苦しみや社会への不満を、整は掬い上げる。いじめに苦しんだ淡路一平(森永悠希)には、カウンセリングを受けるべきは被害者ではなく加害者だと説き、「虐めているほうが病んでいる、そういう考え方にみんながなればいい」とそっと受け止めた。さらにジャーナリストだと嘘の職業を名乗った露木リラ(ヒコロヒー)にはコツコツ働くことはつまらないことではないと話す。自身の自虐も交えながら、整なりの“働くことの意味”を述べる。加えて子供ができないことで家族から疎んじられているという柏(佐津川愛美)の心にも、整はそっと寄り添った。テレビの中の話だけではなく、現代社会に暮らす誰もが一度は感じるだろう疎外感や、不甲斐なさ、心に積もる“モヤッ”とした影を、そっと取り除いてくれるのだ。
惜しくも事件解決を前に終わってしまった第2話だが、既に犬堂家の屋敷には「犯人にしか知り得ない事実」を知っている者が混じっているようだ。何気ない会話の中で「知りえない事実」を話してしまった者こそが犯人なのではないだろうか。次回明らかになる真相から目が離せない。
■放送情報
『ミステリと言う勿れ』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:菅田将暉、伊藤沙莉、尾上松也、門脇麦、白石麻衣、鈴木浩介、筒井道隆、遠藤憲一ほか
原作:『ミステリと言う勿れ』 田村由美(小学館『月刊フラワーズ』連載中)
脚本:相沢友子
プロデュース:草ヶ谷大輔、熊谷理恵
演出:松山博昭、品田俊介、相沢秀幸、阿部博行
制作・著作:フジテレビ 第一制作部
(c)田村由美/小学館 (c)フジテレビジョン
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