『わげもん』強く印象に残る永瀬廉の目の輝き “得体の知れない”高嶋政宏の存在感も

『わげもん』強く印象に残る永瀬廉の目の輝き

 永瀬廉が主演を務める土曜ドラマ『わげもん~長崎通訳異聞~』(NHK総合)が、1月15日に第2話を迎えた。

 全4回で描かれる『わげもん』。第1話が伊嶋壮多(永瀬廉)をはじめとする登場人物たちの背景が説明される「起」だとすれば、第2話は本格的に物語が動き出す「承」だと言えよう。

 その象徴となるシーンが、第1話の予告、さらに第2話の冒頭、本シーンと何度も映し出され壮多だけでなく視聴者の脳裏にも焼きつくこととなる神頭(高嶋政宏)の「お前はまだ長崎を知らない」というセリフだ。

 よろず屋と名乗っているもののどこか得体の知れない人物だった神頭。彼は漂流民の入れ替わりや中島川で男が殺された事件にも関わっていた。夜逃げをしようとする神頭を呼び止めた壮多は、彼から衝撃の事実を聞かされる。

 「お前の父親は生きてる。20年前、お前の父親は通詞の仲間を売った」「お前の父親は己の言葉に滅ぼされた」ーー不敵な笑みを浮かべる神頭へ必死に「うそだ!」と叫ぶ壮多。すっかり瞳の輝きを失ってしまっている、そんな壮多に神頭が投げかける言葉が「お前はまだ長崎を知らない」である。

 この第2話で浮かび上がってくるのが長崎の真の実態だ。家老・周田親政(武田鉄矢)が辣腕を振るう長崎は、彼の言葉一つでそれが正となってしまう権力下にあった。政治的な交渉や情報収集にあたるオランダ通詞は、その末端。森山(小池徹平)は漂流民の入れ替わりに気づくものの、その訴えに聞く耳すら持ってもらえなかった。徐々にどす黒い長崎の内部が浮き彫りになる中で、強いメッセージ性を放つのが神頭の「信じるってのはやっかいなもんさ。失った時、丸ごと持ってかれるんだ。己自身をな。だから俺は何も信じない。親も兄弟も神も仏も……国も。俺は一度死んだ。昔の話だ」という言葉であり、彼の存在によって、その“得体の知れなさ”は一気に長崎へと移り変わっていく。ところどころでインサートされる回想シーンは、第3話、第4話に繋がる重要なピースの一つひとつであろう。

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