山下美月×小西真奈美の表情は永久保存版 『じゃない方の彼女』“奇跡”が終わった最終回

『じゃない方の彼女』奇跡が終わった最終回

 大学の准教授・雅也(濱田岳)が最初から“じゃない方”なんかじゃなかったことが発覚した『じゃない方の彼女』(テレビ東京系)最終話。

※以下、最終回の結末に触れています。

 大学時代、自分からの一世一代の告白に「私も好き」とは返さなかった妻・麗(小西真奈美)の様子に、麗の好きな相手は高校時代からずっと付き合っていた元恋人で自分は“じゃない方の男”だという認識、わだかまりがずっと拭い去れなかった雅也。

 天然魔性系女子大生・怜子(山下美月)との件を詫び「麗ちゃんの“である方”になりたいです。僕はまだまだ麗ちゃんの“じゃない方”かもしれないけど頑張ります」と土下座する雅也に、麗は「ベンチで何も言わずに側にいてくれた時から私にとってマー君は“じゃない方”なんかじゃなくて、“である方”なんだよ」と答える。

「こんなふうに思ってるのは僕だけかもしれないけど、ずっと側にいる」
「そうやって自分の気持ちをちゃんと言ってほしいの、これからは」

 これは図らずも、怜子との別れ際にも「先生、初めて自分の気持ち言ってくれましたね」と彼女から指摘されていたことと同じだ。

 そしてようやく言えた。これまでは黙っていた麗お得意のエスニック料理の献立に対しても、ぶり大根が食べたいと雅也は希望を伝えられたのだ。

 放っておいたら同じメニューばかり好む雅也に刺激を与えたくてエスニック料理など変わり種を食卓に並べていると怜子の前で明かしていた麗だが、雅也同様に妻もまた自分の気持ちをこれまであまり伝えてこなかったのではないだろうか。

 最終話はなんと言っても麗を演じる小西真奈美の泣き笑い顔、コロコロと変わりながら次から次に繰り出される絶妙な表情の数々が圧巻だった。

 本作は、これまで勝手に周囲の男たちが“沼”にハマっていく“である方”だった怜子と、平凡を絵に描いたような“じゃない方”代表格の既婚男性・雅也との入れ替わり作品のような要素もあった。2人にとって距離が近づいたり離れたりする決定的な出来事はいつも“雨”の中描かれた。

 そして本作が何より新しかったのは、恋愛によって“じゃない方”から“である方”に立場が逆転するのが女性ではなく男性側という点だろう。クラスの人気者の男子があまり目立たない女子を好きになって……という展開は少女漫画の鉄板だが、思えばその反対はこれまで描かれることはあまりなかった。

 誰かの“である方”はまた別の誰かにとっては“じゃない方”で……実らぬ恋の上に成就する恋があるのだからそれも当たり前のことだが、同じように当然ながら誰かがずっと誰にとっても“じゃない方”であることもなければ、また別の誰かが常に“である方”ということもないのだ。

 完全無敵の怜子が初めて自分から好きになったのが雅也だったように。さらに、彼女に思い切ってニューヨーク留学を決めさせたのもまた雅也の不器用さ、融通の利かなさで、知らず知らずのうちに背中押しをしていたように。

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