『SUPER RICH』江口のりこ×赤楚衛二のこれまでを振り返る 町田啓太の狙いは?

『SUPER RICH』衛×優の歩みを辿る

 お金はあるけど愛に飢えた女社長・衛(江口のりこ)の、波乱万丈な半生を描いてきた『SUPER RICH』(フジテレビ系)。本作は、まさにジェットコースターのようなドラマだった。主人公の衛は、生後0日からお金持ち。その年を代表する女性起業家に贈られる“プラチナ・ウーマン・オブ・ザ・イヤー”を受賞するなど、社会的にも評価されてきた。だが、信頼してきた同志・一ノ瀬(戸次重幸)の裏切りにより、いきなり一文なしに。

 大好きだったオフィスビルを引き払い、古民家から始めた新生スリースターブックスが、ようやく株式上場まで漕ぎ着けたところで、急降下だ。衛が信頼してきた元上司・聡美(松嶋菜々子)が、スリースターブックスにTOB(敵対的買収)を仕掛けると言い出し、“忠犬”的存在だった空(町田啓太)までも、聡美側に寝返るときた。本作は、最後まで息をつく瞬間を与えてはくれないようだ。

 急上昇と急降下を繰り返す衛の人生を支えてきたのが、夫の優(赤楚衛二)である。貧乏ながらも愛にあふれた家庭で育った彼は、衛にお金よりも大事なものをたくさん教えてくれた。屋台で食べる500円のラーメンの美味しさや、家族で笑い合う時間の尊さ。幼少期に両親を亡くし、何でも1人で乗り越えてきた衛と、すべてを家族と共有してきた優には、価値観のちがいが生じることもあった。だが、最終的には「結婚=相手の味方でいるために、そばにいること」という2人だけの結婚観を見つけることができた。最終回では、衛に数々の困難が立ちはだかってくるだろう。予告には、「CEOから退任します」と告げ、会社を去る衛の姿があった。だが、どんな時でも“味方”でいてくれる存在がそばにいることは、大きな支えになってくれるはずだ。衛と優には、ジェットコースターのようなスリル満点の人生ではなく、平坦な道のりをゆっくりと歩いていってほしい。

 きゅるっとした瞳に、甘えたような上目遣い。優は、“子犬系年下男子”の魅力を爆発させてきた。その優を演じてきたのが、大ブレイク中の俳優・赤楚衛二である。『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(テレビ東京)の時にも感じたが、彼は「守ってあげたい」と思わせる表現がうまい。そして、時にグッと男らしい表情を見せるのだ。本作でも、普段は子犬のような笑顔を見せながら、衛に愛を伝える時には一気に真剣な表情に変化する。天真爛漫でありながらも、大事なところはビシッと締める姿が魅力的だった。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる