木村佳乃、『アバランチ』最終回目前に見せた名演 ラストは福士蒼汰が鍵を握る?

木村佳乃、『アバランチ』最終回目前の名演

 綾野剛主演の連続ドラマ『アバランチ』(カンテレ・フジテレビ系)が12月20日に最終回を迎える。常識外れのアウトロー集団・アバランチを描くこのドラマで、リーダーを演じる木村佳乃の魅力を掘り下げ、最終回への謎を考察してみたい。

 前回までの流れは、3年前の偽装テロ事件を企て、内閣官房副長官まで上り詰めた元警察庁警備局長の大山健吾(渡部篤郎)の闇を暴くべく動いてきたアバランチの活躍に脅威を感じ、大山が反撃を開始。日本版CIA創設のために手段を選ばない大山によって、アバランチはテロリストとして指名手配され、正義のヒーローから一転、世間からテロリストとして非難され、大山直轄の秘密組織「極東リサーチ」に狙われ窮地に陥る。3年前の偽装爆破テロで死んだと思われていた、羽生(綾野剛)の元同僚であり、山守(木村佳乃)の元婚約者である藤田(駿河太郎)が顔に火傷の痕を負った姿で、極東リサーチの構成員として対峙。黒幕である大山の手下として敵対するという、アバランチの存在を根底から覆す事態に。

 木村演じる山守は、闇を背負ったアウトローたちを仕切るリーダーとして、落ち着きと説得力、メンバーとは違ったクールさで、凛とした頼れるリーダーを演じている。かつては清純派女優としてラブコメのヒロインを数多く演じてきたが、年齢を重ね、医師からモンスターペアレントまで、今や怪演女優と言っても過言ではないほど、様々な役柄をこなす演技派として活躍。特に最近は、2019年『映画 妖怪学園Y 猫はHEROになれるか』公開アフレコで、実の娘から「なんでママはいつも悪役なの?」と言われたことも明かしているほどで、ドラマ『僕のヤバイ妻』(フジテレビ系)は、普段優しい顔した妻だからこそ、浮気に対し感情のない狂気じみた行動の怖さを見せたり、『後妻業』(フジテレビ系)や『恋する母たち』(TBS系)など裏表のある役を演じるなど、凛としているからこそ心が読めない役柄が上手い。

 今作では黒幕である大山と食事しながらの対峙シーンが多い。山守は元内閣情報調査室のエリートで、大山は「優秀な人材を失った」と思い、内閣情報調査室に戻って来てほしいと思っているという間柄。山守にとっては憎き敵である大山をクールにあしらい、無言の挑発をしていくその演技と、渡部との緊迫感のある心の探り合いは、派手なアクションが多いこのドラマのアクセントとなっている。

 ただ、完全に形勢を逆転されてからの木村の演技も秀逸で、死んだと思われた元婚約者の藤田と対峙した時の表情が、驚きと悲しみが混雑し、これまで虚勢を張っていた鉄の意志が一気に崩壊するように、吐き気を催すという極限状態の演技で絶望感を感じさせ、アバランチの終焉を示唆する名演技を見せた。

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