『カムカムエヴリバディ』雪衣さんの本音が爆発 算太の“不毛”なアプローチの行方は?
安子(上白石萌音)とるい(古川凛)の生活に寄り添った『カムカム英語』が最終回を迎えた。戦後の日本にとって、太陽のような存在であり、2人にとってはかけがえのない幸せな時間の象徴だった。『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)第34話の冒頭は、何だか画面の向こう側の私たちもしんみりしてしまう始まりだった。
小学校入学祝いを買うために千吉(段田安則)がるいを連れて大阪にでかけた。久々のオフとでもいうような、少し手持ち無沙汰そうな安子は神社の境内でカムカムの音楽を口ずさみながら、突然影踏みをして遊びはじめる。思えば、我々は最近、大切な人を立て続けに失った切ない表情や、何がなんでもるいを守るという強い意志を持った「母親」としての安子の顔ばかりに慣れてしまっていた。しかし、よく考えてみれば1925年生まれの彼女はまだ25歳くらいなのだ。懐かしい、母でもなく娘でもない、「安子」の表情に再会できたような気持ちになれて少し嬉しい。
一方、勇(村上虹郎)に秘めた思いを抱いていた雪衣(岡田結実)は算太(濱田岳)から相変わらず映画デートに誘わるなど、積極的にアプローチをされていた。前回で雪衣が勇に秘めた思いを抱いていることが明らかになったが、女中である彼女が結ばれることは難しい。それでも、日々淹れるお茶に工夫をしたり、遅くまで働いている彼を気遣ったりして、ある意味積極的なアプローチを心がけてきた雪衣。だからこそ、算太の“不毛”なアプローチに自分のそれを重ねて苛ついてしまったのではないだろうか。「なんであなたたちはこの家にいるのですか」と本音を漏らす。
「亡くなった “稔さんとかいう人”の奥さんですよね」に込められたとげの正体は、もしかしたら稔(松村北斗)の死後、憔悴してしまった美都里(YOU)を近くで見てきたからこそなのかもしれない。まだ、もう一人の息子である勇がいるのに、生きている彼には目を向けず、亡くなった稔ばかりに愛を注いでいたと捉えた可能性もあるのではないだろうか。
「おとなしく家のことをするのが筋」と安子の自由さを指摘し、財産目当てで居座っているとさえ言ってしまう雪衣。しかし、この不満も発端は勇との恋路を邪魔する安子への嫉妬心からなるもの。しかしそれもまた、最も聞かれてはいけない人物……勇に聞かれてしまう。今度は大事に思う安子を侮辱された勇が雪衣に厳しい言葉をぶつける。