MCU『ホークアイ』軽快に進んだ前半戦 ケイト×クリントのコミュニケーションが魅力に
第3話「エコー」のテーマは“コミュニケーション”がテーマ
『ホークアイ』第3話では、“コミュニケーション”が1つのテーマになっていたと思う。聴覚に障害のあるクリントやマヤ(アラクア・コックス)は、周囲の人々が思う以上にコミュニケーションに困難を感じ、もどかしさを覚えているようだ。
聴覚に障害があるにもかかわらず、普通の学校に通っていたマヤ。父とは手話で意思疎通ができるが、「お前は2つの世界を行き来できるよう、学ぶ必要がある」と彼女をろう学校には通わせなかった。その後、マヤは右脚が義足でありながら武術を習ったりと、父には娘が将来どんなことをするべきか、何者になるべきか思惑があったようだ。彼女は手話を理解できる限られた人としかコミュニケーションを取ることができない。そのうえ、ろう者のコミュニティにも入れず、常に孤独を感じていたのではないだろうか。そんな彼女の狭い世界は、大半が父で占められていただろう。
成長した彼女は、あるときローニンが父を殺すのを目撃する。父の仇を取ることを誓い、彼がボスを務めていたジャージ・マフィアを継いだマヤだったが、ローニンの正体や居場所は不明だ。そこで彼女は部下に、それを知っているであろうクリントを捕らえさせた。マヤは彼の耳に補聴器があるのに気づき、手話でコミュニケーションを取ろうとするがうまくいかない。
マヤの部下カジ(フラ・フリー)の通訳でローニンの居場所を訊かれたクリントは、奴はブラック・ウィドウに殺されたと答えた。これは『エンドゲーム』冒頭で、彼女がローニンとなった彼を見つけたときのことを指しているのだろう。家族を失って自暴自棄になっていたクリントを現実に引き戻したのは、“もう1人の家族”であるナターシャだった。彼の心は彼女の存在によって救われ、ローニンは“死んだ”のだ。そしてその後、彼女も命を落とす。彼はその両方の「現場にいた」。彼女を思うクリントの顔には、やはり悲しみが浮かぶ。
その後、クリントとケイトは、敵の隙を突いて彼らのアジトからの脱出に成功。ケイトはクリントの“トリック・アロー”をいくつか使い、追跡を遠ざけた。ここで2人は多少の失敗もありながら、息の合ったコンビネーションを見せる。クリントの補聴器が壊れる前、彼にケイトの声が聞こえていたときには噛み合わなかったのに、同じ弓矢の名手として彼らは通じ合ったのだ。
ケイトの弓矢の腕を認める一方で、クリントはヒーローを目指す彼女を遠ざけようとする。ローニン時代に深い後悔を抱える彼は、ヒーローを“辞めたい”のと同時に、自分はヒーローに“ふさわしくない”と思っているようだ。そんな彼の思いを知らないケイトとは、またもや会話が噛み合わなくなってしまう。秘密はコミュニケーションを難しくさせるものだ。
意思疎通の難しさを描く一方で、楽しいアクションも満載だった第3話。ケイトのジャックに対する調査も本格化したところで、物陰からクリントに刀を突きつけたジャック。大ピンチとなったクリフハンガーが、後半戦の展開を期待させる。
■配信情報
『ホークアイ』
ディズニープラスにて、毎週水曜日米同時配信
(c)2021 Marvel
公式サイト:disneyplus.disney.co.jp/program/hawkeye.html