杏「一瞬一瞬は決して無意味ではない」 大きな時代のうねりを前に感じる“希望”とは
天海と椎名の間に、確実に築かれていくもの
――小栗さん演じる天海との関係性が徐々に変化していますが、小栗さんと役作りについてお話されたことはありますか?
杏:「これはなかなか複雑だよね」という話はしました。天海さん自身も最初から家族と別居していて、さらに日本沈没の危機も進んで……と、いろいろと“それどころじゃない“状態で、椎名との心の距離が近づいていくところもあるので。個人的には「それ、吊り橋効果じゃない?」みたいなところもあるだろうなと思うんですが(笑)。こんなことでもなかったら、きっとここまでパートナーみたいな近さにはならなかっただろうなと。でも、強い正義感を持つ同志でもあり、手を取りながら沈没する街から逃げていくシーンもあり。「ここで一緒に逃げようね」とか「何があっても一緒にいようね」というようなものではなく、ある意味で運命のようなものに翻弄されながら、抗いようのないところで、関係性が深まっていくところは大切に演じていきたいですね。最終話に向けて、2人の間に確実に築かれていくものがあるので、そのあたりに注目して見ていただきたいなと思います。
――小栗さんのインタビューでは杏さんが「明るい話題で現場を盛り上げてくれた」ということをおっしゃっていました。どのような話をされていたのでしょうか?
杏:私はほとんど小栗さんとのシーンだったので、なかなか未来推進会議メンバーのみなさんとはお会いできなかったんですけど、たまに、松山(ケンイチ)さんや香川(照之)さんとのシーンの合間にお話させていただきました。お子さんがいらっしゃる方が多い現場だったので、家族の話や「実際にこんなことが起こったらどうやって対応しようか」「こういうとき、これが危ないんだね」とか、そういうことをよく話しました。また、本番中以外はマスクをして感染防止対策をしながらの撮影だったので、少しでも明るい話題や笑顔で乗り切りたいという気持ちでいましたね。この事態にクリエイティブをどこまで優先させるべきなのかという悩みを、みんなが抱えるなかでの、ものづくりの現場だったので「何を伝えようか」「どう伝えていこうか」という課題にみんなで挑んだような気がします。
――共演者の方と「実際に起きたら…」というお話があったとありましたが、杏さんご自身は冷静でいられると思われますか?
杏:「何日後にここまでの部分がこれぐらい沈みます」っていうのがわかっていればだいぶ楽なんですけど。厳しいのは、逃げ場がないっていうところですよね。どこに逃げても沈んじゃうかもしれないっていう部分は怖いなって思います。
――編集長役の伊集院光さんとの共演シーンはいかがでしたか?
杏:本番中はお互い緊張感のあるシーンばかりでした。カメラ以外のシーンでは、積んである少し前の雑誌の内容について、当時のお話を教わったりしたので、それは少し編集長と部下の関係性のようでした。
1人ひとりの意識と行動が、時代の変革期に反映されていく
――本作は1973年に刊行された小松左京さんの小説が原作ですが、杏さんはお読みになられましたか?
杏:はい、20代のころに読みました。50年近く前の原作と、現代で描かれる本作と、時代背景が大きく変わったなと思いますね。今回の作品の中では速報のネットニュースをタブレットでチェックする場面もありますし、沈みゆく島をドローンで空撮して動画でそのまま伝える場面もありました。また、沈んでいく順番の計算なども実際の計測をもとに描かれているとお聞きしているので、フィクションでありながらもかなりリアルに作り込まれているのは、令和ならではですよね。また、そんな今の時代だからこそ、繋がり会える安心感というものもあるのではないかなと思っています。
――今回の作品では、原作にはない“―希望のひと―”という言葉が添えられていますが、椎名にとって、また杏さんご自身にとっての「希望」を教えてください。
杏:椎名にとっての希望は、やっぱり「少しでも多くの人を助けたり、良い影響を与えられる記事を書く」ということだと思います。“弱きを助け強気をくじけ”じゃないですけど、いい社会、いい世の中になってほしいという思いを第一に、損得抜きで動いている人なんだろうなと思います。私自身としては「次世代に何を残せるか」を大事に生きています。個人的にすごく歴史が好きなんですけど、今っていうのは本当に瞬間的なことなので、数十年先だったり、数百年先だったり、過去に思いを馳せたりして、広い目線を持っていたいなといつも思っています。
――未来や過去に思いを馳せるなかで、私たちが生きている今の時代にについて、どう思われていますか?
杏:大きな変革期のなかにいるなと思っています。特に日本は、ある意味島国という特徴もあって、どちらかといえば閉ざされた世界で他の国よりも少し独特な価値観があると思うんです。でも、それがどんどん開かれていくべき部分だったり、変わっていくべき部分もあると思うので、そうした大きな変化のなかにいるように感じています。見直されるべきことはより良く変わっていこうという流れにおいて、必ず私たち1人ひとりの意識や行動というのが反映されていくと思うので、一瞬一瞬は決して無意味ではないなとも思いますね。
――物語は折り返し地点を迎えていますが、今後の見どころをお願いします。
杏:これまで組織内での人間ドラマから、いよいよ自然が関わってくる大きな問題に発展していきます。第5話以降は、さらにそれが世界を巻き込んでいくんですね。日本が沈むとなると仮定した場合、やはり世界の国々に助けを求めたり、協力や意見を求める部分が出てくると思うので、その規模の大きさ、令和ならではのネットワークの速さから生まれる怒涛の展開は、今しか描けないものだと思うので、楽しんでいただけたらと思います。もちろん報道の意味がどんどん問われていくわけですが、椎名自身もずっと記者としての使命を感じ続けていくので、そのなかで彼女が行き着いた“伝えるもの“は何なのか。椎名が何を伝えていくのかは話数によってどんどん変わっていきますので、その変化と込められたテーマにも注目していただけるとうれしいです。
■放送情報
日曜劇場『日本沈没―希望のひと―』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:小栗旬、松山ケンイチ、杏、ウエンツ瑛士、中村アン、高橋努、浜田学、河井青葉、六角慎司、山岸門人、竹井亮介、高野ゆらこ、与田祐希(乃木坂46)、國村隼、小林隆、伊集院光、風吹ジュン、比嘉愛未、宮崎美子、吉田鋼太郎(特別出演)、杉本哲太、風間杜夫、石橋蓮司、仲村トオル、香川照之
ナレーション:ホラン千秋
原作:小松左京『日本沈没』
脚本:橋本裕志
プロデュース:東仲恵吾
製作著作:TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/nihon_chinbotsu_tbs/
公式Twitter:@NCkibou_tbs
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