知的な役から熱い演技まで堪能できる 『その男の記憶法』キム・ドンウク出演ドラマ4選
コーヒープリンス1号店(2007年)で、コーヒープリンスの店員を演じ、一躍注目されたキム・ドンウク。いわゆるパッと目をひく派手なイケメンではないが、役によって全く違う表情を魅せ、高い演技力が魅力の俳優だ。今回はキム・ドンウクが出演している4つのドラマを取り上げ、彼がいかに多彩な役を演じることができる俳優なのかを紹介したい。
大人の男性の魅力がたっぷりな『その男の記憶法』
Amazonプライム・ビデオで配信されている『その男の記憶法』(2020年)で、キム・ドンウクは過剰記憶症症候群という忘却できない病を持つニュース番組のアンカー、イ・ジョンフンを演じている。どんなトラブルにも動じず、番組に出演するゲストに鋭い質問を投げかけ、視聴者からは「ジェントルな暴君」と呼ばれているが、彼にはかつて恋人を亡くすという暗い過去があった。どんな辛いことでも一切忘れることができないジョンフンは、恋人の死から立ち直ることができずにいる。
ある日女優のハジン(ムン・ガヨン)がジョンフンのニュース番組に出演したことで、停滞していたジョンフンの人生が動き出す。ハジンが生放送中に発した言葉が、亡き恋人と同じ言葉だったことで、ジョンフンは動揺し、固まってしまう……。
ビシッと決めたスーツ姿でカメラの前に座るキム・ドンウクは、大人の男性の魅力がたっぷりで文句なしにかっこいい。声のトーンがアンカーを演じるのにぴったりだ。ハジンを演じるムン・ガヨンの輝くばかりの天真爛漫さに戸惑いと見せつつも、その明るさと美しさに次第に惹かれていくジョンフンを、キム・ドンウクは、憂いを帯びた演技で魅せる。特に注目したいのが、キム・ドンウクが魅せる多彩な表情だ。ハジンが「またその表情をする。一体どうしてですか?」とセリフとして登場させているぐらいだ。韓流スターには演技力の高い俳優がそろっているが、キム・ドンウクの表現力、表情を作る力は群を抜いているのではないだろうか。ハジンと出会ったことで、ジョンフンは過去に恋人を失った原因に真っ向から向き合うことになるのだが、ハジンを守るために突き進んでいく姿を、美しい音楽とともに楽しみたい作品だ。
Netflix配信『君は私の春』で知的な精神科医役に
Netflixで配信されている『君は私の春』(2021年)では、精神科医チュ・ヨンド役を演じている。ニュースアンカーから精神科医、キム・ドンウクは知的な役がよく似合う。
このドラマは最初、サスペンスものかと思ったが、全体を通してみるとヒーリングラブストーリーだ。子ども時代、心に傷を負ったダジョン(ソ・ヒョンジン)と出会い、精神科医として影となり日向となり、ヨンドは支えていく。なかでもヨンドが精神科医として発する言葉の数々が美しく、優しい。キム・ドンウクは、押しつけがましくなく、寄り添うように癒しの言葉を口にするのだが、ドラマを観ているとまるで本当にカウンセリングを受けているような気分にさせてくれる。「ああ、こんな精神科医がそばにいてくれたら……」と感じた視聴者も少なくないのではないだろうか。
かくいうヨンド自身も心に傷を抱えた人物なのだが、苦しみながらもダジョンと距離を縮めていく姿を、キム・ドンウクは時に切なく、爽やかに演じている。