『最愛』高橋文哉、梨央への「姉ちゃん」のセリフまでの心境 「優の過去を一番大切に」

高橋文哉が優を演じる上で大切にすること

「今だからできる自分の芝居で」

――吉高さんとは、今作で初共演ですね。

高橋:最初に現場でお会いしてご挨拶はしていたんですけど、一緒にお芝居させていただくまでにはすごく期間があったんです。それでも、初めて吉高さんとお芝居したときから“姉ちゃん”として居続けてくれて、そこに優として居やすいようにしてくださって。でも、カメラが回っていない時には楽しそうに和気藹々とされているんですよね。雰囲気を上げてくださるので、僕も変な緊張をせずに現場に居させていただいています。

――松下さん、井浦さんとはどのようなお話を?

高橋:井浦さんはまだふたりでお話しする機会が多くはないんですけど、加瀬さんの説得力というか、加瀬さんの正義に救われている気がしています。井浦さんと本番とか段取りとかでお芝居をあわせた段階で、優としてホッとしたり、グッときたりするものがあるので、そういうところで救われているなという印象です。松下さんは第4話で、(大輝が優を)追いかけるシーンでご一緒して。僕も本気でダッシュして松下さんから逃げているような感覚でしたし、松下さんは「逃げんなよ」ってずっとおっしゃっていました。撮影終わりに「優、もう逃げんなよ」と言われて、「すみませんでした!」みたいな(笑)。ここからどんどんご一緒する撮影が多くなってくるので、まだまだ楽しみにしながら、プライベートな話もできたらと思っています。

――これまで優を演じてきた中で、共演者の“この芝居に惹き込まれた”というシーンがあれば教えてください。

高橋:本当に全部のシーン、すごく楽しかったですし、すごく勉強になりました。でも、第5話にホテルのシーンがあるんですけど、そこで吉高さんとふたりで初めて“弟と姉ちゃん”という感じでお芝居させていただいて。その時は、自分が発する一言一言が、姉ちゃんにどんどん刺さっていくのを感じながら演じていました。同時に、吉高さん演じる梨央に、優としてのエンジンを何倍もかけていただいたなと思います。

――先程、「井浦さんの芝居にホッとする、グッとくる」というお話もありましたが、相手のお芝居を受けて、キャッチボールできているような感覚の強い現場なのでしょうか?

高橋:もっと感じて動きたいな、と思う現場ですね。自分の中では感じていても、それを優として出せなければ意味がないので。自分の中でキャッチするだけじゃなく、監督とも話しながらもう一回ちゃんと投げて、しっかりとキャッチボールできるようになりたいです。

――塚原あゆ子監督作品には、『夢中さ、きみに。』(MBS)、『着飾る恋には理由があって』(TBS系)に続く3作目の出演となります。

高橋:塚原さんは、「優は今、こういう感情でここにいる。だから、もっとこうしたほうが優としての魅力が出る」といったことを丁寧にお話ししてくださるので、自分の中でキャラクターのイメージが湧きやすいんです。だからこそ感情もリアルになるし、演じながら現場で生まれるものもたくさんある。毎作品毎作品、意見をいただいてお芝居しているので、安心感は強くあると思います。

――ポップな作品も多い中で、今回はシリアスな作品です。意識の違いなどあるのでしょうか?

高橋:意識としての違いはそんなに大きくはないんですけど、やっぱり役自体が暗いというか、優は今のところまったく笑ったりもしないので、そういう“辛さ”みたいなものは今までとの違いを感じますね。難しさもありますけど、優の表情の移り変わり、感情の移り変わり、気持ちの移り変わりは、最終回に向けて大切にしていきたいなと思っています。

――ドラマデビュー作となった『仮面ライダーゼロワン』時のインタビューでは、「演じることが楽しい」とお話しされているのが印象的でした。2年経った今、お芝居に対する思いに変化はありますか?

高橋:変化はすごくありますね。「楽しい」という気持ちは、もちろんずーっと持ち続けて毎日感じているんですけど、お芝居に対する価値観というか、思い、向き合い方は大きく変わりました。当時は右も左もわからずお芝居していたけど、今は、こうしていろんな作品でいろんな役、いろんなキャストのみなさん、スタッフのみなさんに出会って、今だからできる自分の芝居で優という役を演じる楽しさも感じています。でも、そこには以前とは違う難しさもあって……自分と向き合う時間がすごく増えた気がします。

――楽しさの種類が変わった、と。

高橋:そうですね。これからも「楽しい」と思いながらやり続けたいですし、その分、たくさん悩みたいと思っています。悩んだからこそできるお芝居、悩んだことで生まれるものもたくさんあるんじゃないかなって。何より、自分のお芝居で観てくださる方の感情を揺さぶって、役に感情移入できるような、説得力がしっかりとある役者になりたい。その気持ちを忘れずに、これからも役者人生を歩んでいきたいと思っています。

■放送情報
金曜ドラマ『最愛』
TBS系にて、毎週金曜22:00~22:54放送
出演:吉高由里子、松下洸平、田中みな実、佐久間由衣、高橋文哉、奥野瑛太、岡山天音、薬師丸ひろ子(特別出演)、光石研、酒向芳、津田健次郎、及川光博、井浦新
脚本:奥寺佐渡子、清水友佳子
プロデュース:新井順子
演出:塚原あゆ子
編成:中西真央、東仲恵吾
主題歌:宇多田ヒカル(ソニー・ミュージックレーベルズ)
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS

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