『王様ランキング』はデザインと物語のバランスが絶妙 かわいいだけではない残酷さ
10月15日からアニメが放送されている『王様ランキング』(フジテレビ系)に釘付けだ。同作の原作は累計発行部数150万部を突破しており、『みんなが選ぶTSUTAYAコミック大賞2019』6位にもなっている注目作品。アニメも好評で、SNSなどには絶賛の声が多々挙がっている。
主人公・ボッジは、王様ランキング7位のボッス王が統治する王国の第一王子。だが、生まれつき耳が聞こえず、子ども用の剣もうまく振れないほど非力なため、周りからは「王の器ではない」と蔑まれていた。そんなボッジが「影の一族」の生き残りであるカゲと出会い、初めての友達となり、小さな勇気を出したことで人生が大きく動いていく。と、あらすじを見るとそこまで珍しい作品ではないように見える。だが、同作は多くの魅力が詰め込まれている。
まず挙げたいのは、キャラクターの魅力だ。同作の作画はかなりデフォルメされているキャラクターデザインで、子ども向けのような、絵本のような、温かみを感じられる。ボッジの初めての友達であるカゲも、モンスターなのか何なのかわからないが、かわいいことは間違いない。とりわけ主人公・ボッジは両親が巨人とは思えないほど小柄。そのフォルムは子ども然としていて非常に愛くるしい。さらに周りから軽侮されても自分を守るかのように笑顔を見せ続ける健気さ、カゲと出会って喋り相手ができたと喜ぶ素直さなどの性格が相まって、キャラクターデザインがよりかわいらしく見える。
また、ボッジの声を務める日向未南の力もすごい。日向は2019年に現事務所に所属し、『王様ランキング』がアニメ初主演。まだ経歴は浅いものの、見事な演技を見せてくれている。発している言葉はほとんどないにも関わらず、ボッジの感情の動きとピュアさがしっかり伝わってくる。だからこそキャラクターにより感情移入でき、ボッジがより一層魅力的に見えているのではないだろうか。