『鬼滅の刃』無限列車編、炭治郎の“自己犠牲”的な優しさ ついに魘夢と対峙も

 竈門炭治郎の優しさは「異質」で、時に「自己犠牲」に感じる。TVアニメ『鬼滅の刃』無限列車編の第4話では、筆者がそう思わざるを得ない出来事が展開された。

アニメ『鬼滅の刃』公式サイト
アニメ『鬼滅の刃』公式サイトより

 本作は、2020年10月に公開され、興行収入400憶円を突破した大ヒット劇場版『「鬼滅の刃」無限列車編』に約70カットの新作追加映像を追加しTVアニメ化したもの。第3話のラストで主人公・炭治郎が自害を決意し、首に刀を当てザクリと音がしたかと思えば、真っ白な雪の上に血が飛び散るという何とも意味深なシーンで幕を閉じていた。

 第4話では、炭治郎がイチかバチかの決断をしている頃、鬼舞辻無惨配下の精鋭、「下弦の壱」眠り鬼・魘夢(えんむ)に手を貸し、炭治郎の夢の中に入り込んでいた少年は“精神の核”に辿り着いていた。どこまでも続く青い空、その青い空を映し出す澄み切った水面が広がる炭治郎の「無意識の領域」に、少年は感動。さらに、破壊されると廃人になってしまう精神の核を壊す目的の少年をそこまで導いてくれた光り輝く生き物までおり、優しく温かい炭治郎の精神に、少年は涙するのだった。

 炭治郎はこれまでも、仲間はもちろんのこと、死にゆく鬼に手を差し伸べたり、鬼の辛い気持ちに寄り添ったり、敵にも関わらず“優しさ”を見せてきた。本作において、炭治郎の優しさや思いやりの気持ちは重要なポイントとなってくるのだが、このシーンに関しては「異質」だと筆者は感じた。

 自身の“弱点”を他人に見せられる人は、どれだけいるだろうか。現代で親にも友人にも言い辛いことがあるのに、戦場にいる炭治郎は赤の他人にさらけ出している。その理由が「(精神の核を)探していたから」というのも驚きだ。夢から覚めるためとはいえ自害を決断することも、私たちには到底できないことだろう。炭治郎の優しさは、時に自己犠牲にも感じてしまう。

 しかし、上述した通り、この炭治郎の優しさは物語においての重要な要素。夢の中に入り込んでいた少年は結核を患っており、「病気の苦しさから逃れるためなら、人を傷つけて良いと思っていた」と回想するが、炭治郎の優しさに触れたことにより、心を入れ替える。そして、鬼を追う炭治郎に「気を付けて」と声を掛けるのだった。

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