『カムカムエヴリバディ』安子と稔が文通で育む“恋” 近づく戦争の影に届けた詩

『カムカムエヴリバディ』稔が安子に届けた詩

 大阪の商科大学に通う稔(松村北斗)が下宿先に戻ると一通の手紙が届いていた。心を込めて「メイ アイ ライト ア レター トゥ ユー?」と伝える安子(上白石萌音)の顔が思い出される。NHKの連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』が第2週初日を迎え、安子と稔の文通でのやりとりがスタートした。

 「今夜は十五夜です」「稔さんの部屋からお月様は見えますか?」「大阪は都会だからビルヂングの隙間から見るのでしょうか?」と安子は稔に手紙を送る。稔の返事とともに、大学周辺の田んぼや畑に囲まれたのどかな風景が映し出された。

 安子は、少し前から「実用英語会話」がラジオから流れてこないと稔に伝える。稔曰く、ヨーロッパで戦争が始まり、敵国の言葉である英語会話の放送は打ち切られたようだ。稔は、引き続き放送される「基礎英語講座」の存在を安子に教える。安子は書店に駆けつけると、教本を手に取った。そのワクワクした表情から、彼女の胸の高鳴りが伝わってくる。

 木枯らしが吹く季節になり、稔は安子と自転車の練習をした夏を懐かしむ。稔の手紙には、正月には帰省すること、そして「よかったら一緒に映画でも見に行きませんか?」と添えられていた。映画館の前で思わずにやけてしまう安子に、その場を通りかかった勇(村上虹郎)が声をかける。勇は安子に何かを伝えようとして「いや……甲子園出れたらその時言うわ」と言い淀んだ。そのやりとりは少し切なく感じられる。

 正月、安子と稔が一緒に映画を観に行くことは叶わなかった。稔は父とともに、取引先に年始回りに行くことになったのだ。安子は気を落としながらも、正月から仕事をする稔の体を案じた。

 季節はめぐり、また夏が来た。安子と稔は、甲子園を目指す勇について手紙の中で語り合う。悔しくも、勇は甲子園行きを勝ち取ることができなかったが、その姿を背景に聞こえる稔の声はやさしく、弟への思いに溢れていた。

「弟ながら本当に大したやつなんだ。特にこうと決めたら曲げない意志の強さ。とてもかなわないよ。だからいつかきっと甲子園に行くと思う。くじけずに夢をかなえると思うよ」

 安子は、仲間とともに練習に励む勇が「まだ来年がある! 最後の夏があらあ!」と声をあげるのを見て微笑んだ。

 物語の終わり、戦争の影が近づく。英語は敵性語とみなされ、祖父のタバコの銘柄が改称された。町には軍人の姿も見える。「日本は、私たちの暮らしはどうなってしまうのでしょう」という安子の問いかけに、稔は「On the Sunny Side of Street」の詩を送る。「心配事は玄関に置いて、ひなたの道へと歩きだそう」「ひなたの道を歩けば、きっと人生は輝くよ」。詩を読む2人の声が重なった。

 ほとんどの出来事が文通のやりとりだけで描かれた第2週初日。それでも大切な人を思う登場人物たちの心情は十二分に伝わってきた。安子の朗らかな笑顔で幕を閉じたが、社会の不穏な気配が彼女の笑顔を奪わないよう願うばかりだ。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:上白石萌音、深津絵里、川栄李奈ほか
脚本:藤本有紀
制作統括:堀之内礼二郎、櫻井賢
音楽:金子隆博
主題歌:AI「アルデバラン」
プロデューサー:葛西勇也・橋本果奈
演出:安達もじり、橋爪紳一朗、松岡一史、深川貴志、松岡一史、二見大輔、泉並敬眞ほか 
写真提供=NHK



インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる