『カムカム』上白石萌音×松村北斗が表現する“出会い”のきらめき 恋の予感に胸が高まる
上白石萌音は、なんて朝ドラにぴったりな女優なんだろう。くしゃっとした可愛い笑顔は相手の警戒心を解き、老若男女問わず誰もがその虜になってしまう。
まさに、素朴だけどそこにあるだけでホッと安心できて、一口食べれば幸せが身体中を包み込む“あんこ”のような存在だ。岡山で生まれ育った筆者も改めてその魅力を再認識できる、ゆったりと穏やかな方言はきっと朝からお茶の間を癒すだろう。
『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)第3話では、14歳になった安子の日常が描かれ、松村北斗、村上虹郎、小野花梨ら注目のキャストが続々と登場した。
高等小学校を卒業し、家業を手伝う安子。和菓子屋「たちばな」が店を構える岡山市内の商店街を歩けば、近所の人たちから「安子ちゃん、こんにちは」と声をかけられる。子供の頃からずっと自分の家のあんこが大好きな安子だけれど、おしゃれにも興味津々な年頃の女の子になっていた。
同級生たちもそれぞれ成長し、勇(村上虹郎)はガキ大将から全国中等学校優勝野球大会(現在の全国高校野球選手権大会/甲子園)を目指すたくましい野球少年に。だけど安子を「あんこ」とからかいながらも、自分の格好いいところを見せたがる不器用な性格は昔から変わっていない。
親友・きぬ(小野花梨)はやっぱりどこかおませで、当時大流行していたパーマネントを安子に勧める。「きっと似合うで」と言われてまんざらでもない安子はその夜、母のしず(西田尚美)にパーマネントをかけてもいいかと頼むが、ラジオから日本軍とソ連軍が満州国とモンゴルの境界線を巡って衝突したというニュースが飛び込んだ。のちに「ノモンハン事件」と呼ばれるこの出来事からしばらくして、パーマネントは禁止となる。
大好きなあんこと、大好きな人たちに囲まれる平和で幸せに満ち足りた安子の日々に、少しずつ確実に戦争の足音は忍び寄っていた。