『おかえりモネ』のタイトルに込められていた“相手を受け入れること” 「モネ」の由来も

『おかえりモネ』のタイトルの意味

「忘れないって大事だけど、苦しい。だから時々忘れて、笑って」

 雅代がこれまで「語り」をしてきたのが、単に亡くなってしまった祖母という以上に、物語上でこの姉妹にとって欠けてしまっていた最も重要なピースの役割だったからなのかと気付かされる最終週だった。

 そして開かれる、未知のおめでとう会。宇田川さんが書いたと思われる達筆の掛け紙は、明日美(恒松祐里)が東京から持ってきたのかもしれない。それにしても、その場のメンツをみてやはり先述の未知の居場所について考えてしまう。

 思い返せば、震災後の未知の周りにいたのは、百音の友達である幼なじみたちで、“未知の友達”を我々は見たことがない。いるのかもしれないが、いつも行動を共にしているのは震災時に行動を共にした、姉の友人たちである。恐らくではあるが、亮が「体育館にいるよ」と割って話してきた様子も含めて、幼なじみたちは未知が祖母を家に置いてきてしまったことを知っていたのではないだろうか。

「囚われてきたのは、俺やみーちゃんだけじゃないんじゃないの?」
「もう俺たち普通に笑おうよ」

 回想で振り返られるシーンが暗示するのは、幼なじみたちが共有していた未知の傷と秘密のことかもしれない。百音はふと思い立って、自分の部屋に向かうと震える手で楽器ケースを手に取る。「自分が悪い」と責めてきた、罪悪感。逃れられない過去の記憶。そんなものが詰まっていそうで、開けてしまうのが少し怖いくらいだったそれを、みんなで開ける。その場にいる全員が、同じような感情を抱えて苦しんできた。みんなで開ければ、その中身を見て、一緒に笑えるかもしれない。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:清原果耶、内野聖陽、鈴木京香、蒔田彩珠、藤竜也、竹下景子、夏木マリ、坂口健太郎、浜野謙太、でんでん、西島秀俊、永瀬廉、恒松祐里、前田航基、高田彪我、浅野忠信ほか
脚本:安達奈緒子
制作統括:吉永証、須崎岳
プロデューサー:上田明子
演出:一木正恵、梶原登城、桑野智宏、津田温子ほか
写真提供=NHK

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