『最愛』第1話で示された5つの大きな謎 オリジナルの“イヤミス”的ラブストーリーに注目
3)康介の父親は誰に殺されたのか?
康介が失踪した直後から、彼の父親・昭(酒向芳が怪演!)は大学周辺で聞き込みを始め、陸上部の寮にも来て、梨央にも「何か知らないか」とぐいぐい迫って質問していた。しかし、陸上部監督がさえぎったので、昭は梨央がどこの誰かということはわからないままに。そして、2021年、東京にある公園の池で死体となって見つかる。白骨化していた息子と違って、昭は何者かと争い「頸部を掴まれ、池に落とされて殺された」と判明しているので、警視庁捜査一課が捜査を始める。岐阜に住んでいた昭だが、死ぬ2日前に東京の梨央の会社を訪れ、「(陸上部の)寮におった女の子やね?」と再び話を聞こうとしていた。おそらく梨央が若き女性社長としてメディアに取り上げられ、その写真を見て15年前のことを思い出したのではないだろうか。まるで刑事のような捜査力を発揮していた昭だが、それも息子への愛情ゆえ。康介は梨央に乱暴しようとした最低な男だが、父親にとってはかわいい子だったのだろう。
4)梨央の父、達雄は本当に病死なのか?
優しい父親だった達雄は、寮で事件のあった翌日、東京の大学の推薦入試を受けに行く梨央を送り出すと、寮のソファで眠るように息を引き取っていた。ゆえに病死ということになっているが、タイミングが合いすぎてないだろうか。梨央に言い残した「お父さんは何があっても梨央と優(梨央の弟)を守る」という言葉も遺言めいており、自殺ということも考えられる。達雄は事件の真相を知っているはずなのだが、その秘密を抱いたまま、それを闇に葬るように死んでしまった。また、岐阜で寮の管理者をしていた達雄が、なぜ東京の資産家の娘である梓(薬師丸ひろ子)と結婚していたのかという過去のいきさつも気になる。
5)元陸上部員で真相を知っているのは誰か?
15年前の事件の真相を知るのは達雄だけではないはずだ。康介と一緒に飲み会をやっていた長嶋は、康介が梨央に薬を盛った食堂にはいなかったが、寮内にはいて、その後の惨劇を見ている可能性が高い。達雄が康介を死なせ山中に埋めたとすれば、達雄と口裏を合わせていた可能性もある。だからこそ、長嶋は達雄が死んだとき狼狽していたし、その後、康介の父が訪ねてきたときも、康介は寮に来たけれどすぐに帰ったと嘘をついたのではないか。飲み会に参加していた陸上部の菜奈(水崎綾女)も明らかに何かを隠している様子だ。さらに、飲み会の場面には他にも複数の人物が映っていた。また、現在、大輝が東京の警視庁で刑事になっており、元陸上部員の藤井(岡山天音)も富山県警の刑事になっているのは、偶然なのだろうか。やや飛躍して考えてみると、実は大輝か藤井が真相を知っており、それを明るみに出さないために警察に入ったとも考えられる。
この中でも最大の謎は、康介の父親を殺した犯人は誰なのかということ。10月22日放送の第2話ではその真相を突き止めたい大輝と、何らかの事情を隠す梨央が心理戦を繰り広げることになりそうだ。そして、現在のところ真面目で真田家への忠誠心が厚い弁護士という印象を受ける弁護士・加瀬(井浦新)の存在も気になる。梨央を守るために康介の父親を殺そうと考えるのは誰か?と推理すると、加瀬だって犯人候補のひとりなのだ。
■放送情報
金曜ドラマ『最愛』
TBS系にて、毎週金曜22:00~22:54放送
出演:吉高由里子、松下洸平、田中みな実、佐久間由衣、高橋文哉、奥野瑛太、岡山天音、薬師丸ひろ子(特別出演)、光石研、酒向芳、津田健次郎、及川光博、井浦新
脚本:奥寺佐渡子、清水友佳子
プロデュース:新井順子
演出:塚原あゆ子
編成:中西真央、東仲恵吾
主題歌:宇多田ヒカル(ソニー・ミュージックレーベルズ)
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS