『おかえりモネ』が描いてきた“信用”というテーマ 菅波の言葉に込められた真意とは

『おかえりモネ』菅波の言葉に込められた真意

 菅波にかつて登米から耕治(内野聖陽)へ送った「わたしはここにいます」という言葉で、地元で生きていく覚悟を綴った百音。そして新年が明け、百音は気象レーダーから太平洋側に低気圧が発生すると予測した。低気圧が発達すると周辺で暴風雨が吹き荒れ、海上が荒れる。百音は午後1時の気象庁の発表を待ってからラジオで予報を伝え、漁協にも連絡を取った。予想通り、経験と勘を頼りに仕事をしてきた漁師の人たちは聞く耳を持ってくれなかったが、決意を新たにした百音はもう一歩も引かない。直接漁協を訪れ、組合長の滋郎(菅原大吉)に船の船行が困難になり、最悪転覆の恐れもあることを伝える。アプローチの方法は以前と何も変わっていない。それでも、滋郎の心を動かしたのは百音の“しぶとさ”と、アワビの開口日を当てたという少しの信頼だ。一歩一歩、着実に。道のりは長くとも、ようやく最初の扉が開く音がした。

 そして今回はもう一人、未知の“しぶとさ”が報われる兆しを感じた。お正月に喫茶店で待ち合わせした亮(永瀬廉)に、未知は海から戻ってきたら話したいことがあると伝える。いくら側にいても、亮と心を通じ合わせることができないもどかしさを抱いている未知。だけど、以前とは明らかに未知に対する亮の表情は変わった。喫茶店に入り、未知の姿を見つけた時の嬉しそうな顔、うつむき加減で話す未知に向ける優しい眼差し。そのどれもが、言葉よりも雄弁に彼女を「愛しい」と語っていた。正しさを超えて、“大切なものを失う”ことを怖がっている亮の隣に居続けた未知の温もりはちゃんと伝わっている。まだ、漁に出たまま帰ってきていない亮。どうか無事に、二人が約束を果たせますように。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:清原果耶、内野聖陽、鈴木京香、蒔田彩珠、藤竜也、竹下景子、夏木マリ、坂口健太郎、浜野謙太、でんでん、西島秀俊、永瀬廉、恒松祐里、前田航基、高田彪我、浅野忠信ほか
脚本:安達奈緒子
制作統括:吉永証、須崎岳
プロデューサー:上田明子
演出:一木正恵、梶原登城、桑野智宏、津田温子ほか
写真提供=NHK

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