『おかえりモネ』が描いてきた“信用”というテーマ 菅波の言葉に込められた真意とは

『おかえりモネ』菅波の言葉に込められた真意

「認められるってことは、信用されるってこと」

 思えば、最初から『おかえりモネ』(NHK総合)はこの“信用”を一つのテーマとして描いてきた。

 人は簡単に心を開かないし、本音を打ち明けてはくれない。出会ったばかりの人がどんなに最もらしいことを語っても、多くの人は見向きもしない。それでも諦めず、心が折れそうになる瞬間を何度も乗り越えた人にだけ一筋の光が差し込む。第108話で百音(清原果耶)と未知(蒔田彩珠)、“しぶとい”姉妹の元にそれは届いた。

 地元の人たちに天気の予測ばかりで具体的な解決策を示せず、落ち込む百音は電話をかけてきた菅波(坂口健太郎)に、LINEで自分の考えを伝える。「自然を前にして、やはり無力です」。気象予報士は全知全能の神ではない。少し先の未来を予測できても、自然現象をコントロール術はないのだから。

 それでも起こりうる被害を最小限に留めたり、自然の力を利用することはできる。実際に、東北の太平洋側に大型の台風が上陸した時に百音が適切な情報を伝えたことで、家族や知人は事前に対処することができたし、風の力を利用したプランで鮫島(菅原小春)は自信を持ってレースに挑むことができた。気象予報は人々を絶望させるためのものではなく、希望ある未来を切り開いていくためのもの。そのことを誰よりも知っているはずの百音が無力さを口にしてしまったのは、地元の人たちに本当の意味で受け入れてもらえない辛さがあるからだろう。

 しかし、菅波がそんな百音にかけた言葉は意外にも厳しい。

「自分で選んだんでしょう。それとも東京に戻りますか?」

 ここでも“信用”というワードが頭に浮かぶ。字面だけで見ると、突き放しているようにも思える言葉。自分で選んだ道なんだから、ともし関係性を築けていない相手に言われたら傷つく。それでも愚痴くらいこぼさせてよ……と腹が立ってしまうかもしれない。だけど百音には、視聴者が実際に聞いた菅波の優しい声でその言葉は再生される。

 菅波は百音が表面的な優しさに甘える人間ではないこと、傷ついても何度も立ち上がる“しぶとさ”を持っていることを知っている。だから敢えて、百音が自分の決意を思い出せるように鼓舞したのだ。何年もかけて、少しずつ関係性を築い2人だからこそ、互いの言葉に隠された本質を見抜くことができる。



インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる