亀梨和也が意識のない大島優子を優しく抱きしめる 『正義の天秤』鷹野の“治療”の根本
「俺にとって弁護は治療だ」と断言し、担当する被告人が不利になろうとも、法廷で堂々と事件の真相を暴いていく元外科医の弁護士・鷹野(亀梨和也)。10月9日に放送された『正義の天秤』(NHK総合)の第3話では、鷹野は法廷に立たない。今回の「治療相手」は、なんといつもならライバルであるはずの検事だったのだ。
高崎の銀行で起きた強盗殺人事件で、検察側の無期懲役の求刑に対し、杉村(北山宏光)が懲役30年の減刑を勝ち取る。主任検事の長谷川(高橋克実)は“ミスター検察”と呼ばれるほど、厳格であることで有名なのだが、鷹野(亀梨和也)は、そんな性格の長谷川の出してきた求刑が軽すぎることが気になっていた。最初は杉村と長谷川の取引を疑い、杉村を落ち込ませた鷹野。しかし調査を進めていくと、長谷川と被告人・中江(須賀健太)は過去に接点があったことが判明。鷹野は、中江が長谷川を利用して求刑を軽くさせていたことを突き止めたのだった。
鷹野の弁護が治療になる理由は、事実をズバズバと論理的に、反論する余地もなく畳み掛けてきたかと思いきや、すっと相手の心に寄り添ってくるからだろう。ここに少しの人間味を感じる。今回も鷹野は別の事件で冤罪を生んでしまったかもしれないと不安に思い、中江に従ってしまった長谷川の気持ちを言い当て、事件の真相に近づいていった。
この鷹野の優しさを感じる人間味には、久美子(大島優子)が関係しているのではないだろうか。久美子は、急病になった見知らぬおばあちゃんを病院へ運び込み、手術にあたる鷹野に、あたかもその人が自分の祖母かのような勢いで「殺したら許さないから!」と言い放った。その日は、久美子が韓国旅行に行く予定の日だったようだが、「キャンセルしちゃいました、残念」と少し微笑む。かと思えば、それを「合理的でない」という鷹野に向かって、「命よりも大切な用なんてありませんよ」とズバッと言い切る。鷹野はこのエピソードを思い出しながら、久美子のことを「優しくて、大胆で、気遣いのできる人」という。