小栗旬主演『日本沈没』は日曜劇場でどう描かれる? 提示する新たなリーダー像
日曜劇場といえば、『半沢直樹』しかり前シーズン『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』しかり、自身が叶えたい理想やあるべき姿のために旧態依然とした体制や権力に立ち向かう主人公の姿が描かれてきた。本作も主人公が官僚、かつ日本沈没という目に見えない全く現実味のない壮大すぎる危機が迫る中で、そこで求められ、人々に信じられ人の心を動かせる真のリーダー像について言及されそうだ。主演を演じる小栗もダイジェスト番組で「災害を題材にすることの重み」を実感しており慎重に作っているというようなコメントをしていたが、地震大国であり災害大国であるここ日本において、もはや国自体が沈没するとなった時に、それを一人で背負って立つような万能な“ヒーロー”の出現などあり得ないわけで、どんな困難な状況下でも諦めずに“今”目の前で起きていることに対してスピード感を持って進むべき方向に舵切りをし対処してくれる“道標”となるようなリーダーこそが必要とされるだろう。現場で汗をかき自分の言葉で語ることができ、国益よりも市民の安全や暮らしを最優先に考えてくれる。それこそが副題の「希望のひと」に込められた思いであり、同じく未曾有のパンデミックの脅威にずっと晒され続けている今の我々の想いともリンクするところではないだろうか。
今作では、天海の別居中の妻・香織(比嘉愛未)と娘・茜の存在も描かれるようで、日本滅亡前に国家の存続のために真摯に向き合いながらも、まずこの家族という最小の社会集団の危機を天海がどう乗り越えていくのか、そこも見どころの一つとなりそうだ。完全無欠のヒーローではなく、この辺りからも天海の人間臭さが伝わってくるように思える。
奇しくもコロナ禍に見舞われ、東日本大震災からも10年という節目の今年、本作が放送される意義は大きいだろう。本当に日本が沈んだら、このまま日本に住めないような事態になったら自分はどうするか……そんな視点を持ちながら前代未聞の危機に立ち向かう人々の足掻きや絶望、そしてそこに差し込む希望を一緒に見出したい。
■放送情報
日曜劇場『日本沈没―希望のひと―』
TBS系にて、10月10日(日)スタート 毎週日曜21:00~21:54放送
出演:小栗旬、松山ケンイチ、杏、ウエンツ瑛士、中村アン、高橋努、浜田学、河井青葉、六角慎司、山岸門人、竹井亮介、高野ゆらこ、与田祐希(乃木坂46)、國村隼、小林隆、伊集院光、風吹ジュン、比嘉愛未、宮崎美子、吉田鋼太郎(特別出演)、杉本哲太、風間杜夫、石橋蓮司、仲村トオル、香川照之
ナレーション:ホラン千秋
原作:小松左京『日本沈没』
脚本:橋本裕志
プロデュース:東仲恵吾
製作著作:TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/nihon_chinbotsu_tbs/
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