『おかえりモネ』鈴木京香×内野聖陽×蒔田彩珠×藤竜也、演技巧者たちが織りなす家族の絆

『おかえりモネ』永浦家の絆

 第104話で百音に震災のときの話を初めて打ち明けた亜哉子。目の前の小学校1年生の生徒たちを守りながらも、自分の娘たちの安否を気にかけてしまった10分間に、胸を痛め続けていたのだった。その10分間のことで自分を責め、教師を辞めたことを誰にも伝えず、島の生活に溶け込んでいた。

 亜哉子が「民宿を再開したい」と言い出したときに耕治が反対したのは亜哉子に負担がかかるだけでなく、彼女の過去の痛みを心配したこともあるのではないだろうか。龍己も、亜哉子が子供たちとふれあうことができる島の里親制度をやりたいのでは?と気づいていたが、耕治も亜哉子の民宿再開への本当の思いについて考えていたに違いない。亜哉子が家族に震災のことを話したとき、耕治は隣で彼女の胸のつかえが取れるのと同時にそっと背中に手を当てた。日曜日に勉強を教わりに来たあかりに見せた亜哉子の笑顔を見て、耕治はすぐに塾を開くための準備をする。

 栄転で耕治が仙台に単身赴任することが決まっても、一番深いところで通じ合っている耕治と亜哉子の関係は揺らぐどころか安泰だろう。

 大切なものを守りながら自分のやりたいことを諦めない。亜哉子が島の子供たちのために塾を開けたように、未知も自分の人生でやりたいことを諦めずに進むことができるだろうか。

 未知が龍己の後を継ぐことにこだわり、地元で大切なものを失いたくないと強く思うのは震災の経験もあり、彼女の幸せを願う家族でも簡単に立ち入ることができない。お互いを思い合い、優しさにあふれる永浦家ゆえの苦悩が浮き彫りになった展開となった。

 今後、未知と亮の、あの微妙な関係がどうなるのか、未知がどんな選択をするのか、非常に気になるところではある。「私が継ぐ」「私が守る」「私がそばにいる」という自分の言葉に未知が囚われることなく、姉・百音との比較で苦しまないためにも、未知の自由を願わずにはいられない。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:清原果耶、内野聖陽、鈴木京香、蒔田彩珠、藤竜也、竹下景子、夏木マリ、坂口健太郎、浜野謙太、でんでん、西島秀俊、永瀬廉、恒松祐里、前田航基、高田彪我、浅野忠信ほか
脚本:安達奈緒子
制作統括:吉永証、須崎岳
プロデューサー:上田明子
演出:一木正恵、梶原登城、桑野智宏、津田温子ほか
写真提供=NHK

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