俳優のオーディション番組は浸透する? “スター”と“推し”、発掘の違いから探る

俳優のオーディション番組は浸透する?

 TBSスター育成プロジェクト『私が女優になる日_』(通称、『ワタジョ』)の演技バトルを勝ち抜いたメンバー4人が、10月より同局の“よるおびドラマ”枠で放送される『この初恋はフィクションです』に出演する。

 『ワタジョ』は、TBSと大手芸能プロダクション・田辺エージェンシーがタッグを組み、秋元康が総合プロデューサーを務めるオーディション・プロジェクト。自分の可能性に気づいていないダイヤの原石を探して、光り輝く女優に育てることを目的としており、約9000名の応募者の中から合格した10人が半年に渡り、TBSドラマ出演権をかけて演技バトルを繰り広げた。

日本で浸透した音楽アーティストのオーディション番組の熱狂の仕組み

[Nizi Project] Part 1 #1-1

 応募条件はどこの芸能事務所にも所属していないこと。芸能界を目指す女の子たちにオーディションから密着し、デビューするまでの過程をカメラで追うドキュメンタリーと聞いて、多くの人が思い出すのは2020年に社会現象を巻き起こした『Nizi Project』だろう。ソニーミュージックとJYPによる日韓合同オーディション・プロジェクト『Nizi Project』(通称、虹プロ)では、のちに“NIziU”と名付けられた世界的ガールズグループのメンバーを一から発掘。Huluでの配信に加え、朝の情報番組『スッキリ』(日本テレビ系)で特集が組まれたことで幅広い層に知れ渡った。

[未公開シーン]ファイナル 練習生たちの舞台裏|PRODUCE 101 JAPAN SEASON2

 ただ『Nizi Project』が大ヒットした背景には、日本で密かに韓国発のサバイバルオーディションが流行していたことも挙げられる。近年、日本や韓国で人気を集めているTREASUREやENHYPENなどK-POPアイドルグループの多くはオーディション番組から誕生した。そして、特に日本でファンが熱狂しているのは、視聴者が直接投票でデビューするメンバーを選ぶ『PRODUCE 101』だろう。2019年に練習生101人の中から選ばれた11名で結成された“JO1”はデビュー以来、全シングルの初週売り上げが20万枚を超え、2020年にはTwitterで「#JO1」が音楽部門で最も多く使われたハッシュタグになるなど、快進撃を遂げている。なお、同番組のSEASON2から生まれた“INI”も11月3日にデビュー予定だ。

[THE FIRST 合宿最終審査 / ステージ映像] To The First / ショウタ、ジュノン、レオ、リョウキ、ソウタ、マナト、ラン、レイ、シュント、リュウヘイ、ルイ

 こうしたオーディション番組は日本でも浸透しつつあるが、上記で挙げた虹プロや日本版プデュはあくまでも日本と韓国の共同プロジェクト。そして、完全に日本発のサバイバルオーディションとして開催されたのが、SKY-HI主催の『THE FIRST』だ。多くのK-POPグループが世界に進出し、音楽の才能に溢れた若者たちが次々と韓国に渡っている状況を危惧したSKY-HIが自腹で1億円を出資。『スッキリ』がオーディションに密着した点や、参加者同士がライバルではなく仲間として成長を助け合っていた点など、虹プロとの共通点も多いが、『THE FIRST』は合宿中に参加者自身が作詞・作曲・振り付けまで行う“クリエイティブ審査”を設けていたところが新鮮だった。

 一大ムーブメントを巻き起こしているサバイバルオーディションだが、その魅力としては“推し”を見つけやすいという点にあるだろう。特定のアーティストや声優、アニメキャラクター、俳優などを熱狂的に応援する「推し活」文化が日本で定着して久しいが、そこには“推し”が一つひとつ階段を登っていく成長に携わりたいという思いがある。サバイバルオーディションでは視聴者がある意味“プロデューサー”の目線に立ち、まだ表に出ていない、だけど無限大の可能性を秘めた参加者の中から自分だけの“推し”を見つけられるのだ。プロデューサーやトレーナーからの評価に泣いたり笑ったりしながら、着実に成功を遂げていくそれぞれの“推し”に視聴者が感情移入し、熱狂は生まれていく。



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