福山あさき&畠山航輔、映画『カラミティ』で得た気づき 「自由に生きていいんだなって」
映画『カラミティ』が9月23日に公開される。本作は、故・高畑勲が絶賛したことでも知られる『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』を手がけたレミ・シャイエ監督の最新作。西部開拓時代に生まれた伝説の女性ガンマン、カラミティ・ジェーンの少女時代を描いた物語だ。女性は女性らしく生きなければならない時代に、マーサは家族を支えるために髪を切りジーンズをはくことを決意。様々な困難に立ち向かいながらも成長していく。
同作の日本語吹替版では、主人公・マーサ役に福山あさき、マーサの幼なじみ・イーサン役に畠山航輔が抜擢された。12歳でありながらも妹や弟の面倒をみるマーサ、一方そのマーサに恋心を抱きながらも意地悪をしてしまうイーサン。福山、畠山ともに今まで演じたことがない役どころとのことだが、旅を経て成長していく様子や思春期ならではのいじらしさを巧みに演じていた。
リアルサウンド映画部では福山と畠山にインタビュー。それぞれの役作りや本作の魅力について語ってもらった。(編集部)
畠山「福山さんはみなさんが思い描くマーサ像とぴったり」
ーー福山さん、畠山さんはそれぞれマーサ、イーサンという役をどのように演じましたか?
福山あさき(以下、福山):マーサは、男勝りで自分がやると決めたら何がなんでもやる、本当にまっすぐな女の子なんです。演じる上で、自分と近しい性格だったので役作りしやすかったですね。
ーーどんなところが近しいと思ったんですか?
福山:頑固なところですね(笑)。私、占いに行っても「あなた、頑固ね」って言われるくらいなんです。
ーー畠山さんはそう思われます?
福山:そんなに時を共にしてない!(笑)。
畠山航輔(以下、畠山):そんなに時を共にしていないので、僕はあんまりそういうふうには見えてないんですけど(笑)。そうなんですね。
福山:台本によっては「ここのセリフはなんでこう言ってるんだろう」って疑問に思うことがあるんですけど、マーサの場合は分かりやすく、すんなり入ってきたので、自分と似てるのかな。難しくはあったんですけど、演じやすいなと思いました。
ーーマーサは12歳の少女なんですよね。
福山:そうなんです。日本のアニメでは12歳ってもっとかわいい子供らしさを出せるんですけど、マーサは12歳にしては原音が低くて、顔も仏頂面でたくましい感じだったので、そのままやると大人の怖い女性になっちゃうんです。12歳で声をキープしつつ、子供らしさを出すのが難しかったなと思います。
ーー福山さんとしても演じたことのなかった役柄でしたか?
福山:今までゲームの収録とかでは、分かりやすくツンデレとかお姉さんだったりとキャラ割されてたんですけど、マーサは自然体でキャラクターは分かりやすくはありつつも、声で年齢を出すのが難しかったですね。
ーー畠山さんはイーサン役についていかがですか?
畠山:イーサンは今まで演じたことのなかった役なんです。優しい少年だったり、意地悪をするキャラクターを演じたことはあるんですけど、どちらかと言うとその意地悪の方向性はキツネの狡猾さというか、ヘビのような気持ち悪さだったんです。イーサンのガキ大将のようなタイプは初めて演じましたね。僕がお芝居で使ったことのないような声のトーンでやらせてもらったんですが、この意地悪さがどちらかと言うと素直になれないような、思春期独特のところから来ているなと思ったので。素直になれない少年のかわいらしさを拾ってあげた方が、よりキャラクターに深みが出るんじゃないかなと思って、役作りをしましたね。
ーーお互いの演技を見た印象はいかがですか?
福山:普段の畠山さんが柔らかい印象で、イーサンははっきりと言えば意地悪なガキ大将の役なので、どのように演じるのかなと思っていたんです。今、聞いてそういった役は初めてだったんだって、びっくりしたくらいです。合ってたなと思います。意地悪なだけじゃなくて、思春期独特の好きで相手に意地悪しちゃうような、そこも表現されていたので、私はイーサンがすごい好きですね。人間らしさというか、意地悪しちゃう理由も表現されている。マーサのこと好きなんだなって。ただ、嫌なヤツじゃなかったです。
畠山:あー、よかったです。コロナ禍での収録だったんですが、僕と福山さんはちょっとだけ一緒に録ったんですよ。その時にマーサってどんな声の子なんだろうなって想像がつかなくて。でも福山さんが第一声を発する時、「あ、マーサがいる」って思ったんです。福山さんのマーサはみなさんが思い描くマーサの像とぴったりだなと強く思いますね。「ありがとう」とか「え?」とか、短いセリフの中でマーサらしさが表現できているのがすごいなと思って。お芝居は長ゼリフも難しいんですけど、短いセリフでその人なりの個性を出すのが難しいんです。
福山:息遣いとかですよね。
畠山:そうです。短いセリフは、ただでさえ難しいのに、福山さんのマーサは短いセリフの中でもドンッと見えて、そこは僕の中でも敬服の思いでした。
福山:嬉しくてすごくよく眠れそうです(笑)。
ーー福山さんは主役を務めるのが夢でもあったそうですね。
福山:いつかはやるぞって思ってたんですけど、まさか叶うとはっていうのが正直な気持ちですね。
ーー『マロナの幻想的な物語り』では通行人役でした。
福山:去年、声優デビューしたんですけど、そこから初めての映画の収録が『マロナ』の通行人の役で、それですらガチガチに緊張して……(笑)。その次が『カラミティ』だったので、セリフ量が全然違っていて。「ずっと、マーサやん!」って(笑)。
畠山:台本を開けども、開けども(笑)。
福山:「休みない! これが主演か」って。プレッシャーもありましたね。ベテランの方々が多かったので、台本を読みまくって、映像を観まくって、本番に臨みましたね。
ーーほかの声優さんとも一緒に収録できればよかったんですけどね。
福山:そうなんですよね。でも、畠山さんとジョナス役の林(瑞貴)さんとは一緒に収録をさせていただいたんです。私が収録した別の日にみんなまとまって録られていたので、少しでもどんな感じか知りたくて、全部観させていただいたんですよ。実際に聞いてセリフを返せなかったので、そこは残念だなと思いました。