『賢い医師生活』最終回直前のS2第11話 5人の医師の専門分野に彼らの問題と対処法が浮上
また、S2ではインターンやレジデントなど後輩の成長に多くの時間が割かれた。S1のみの出演と伝えられていたアン・チホン役のキム・ジュンハンが、脳神経外科の同期としてカメオ出演している。アン・チホンはS1を通して苦い役回りだったが、「仲間がいたからがんばれた」というドラマ全体のテーマにも通じるようなシーンでの再登場は、物語が結末に向かうにあたり必要な贖罪だったのかもしれない。
S1で患者への不誠実な説明をソンファに叱られたソクミンは、手術を拒む患者に対して丁寧に時間をかけて説得する。ソンファは彼を「完成形ではなく、進行形なところが長所。努力する姿がすてき」と褒める。S1で想いを告げたミナとイクジュンは、それぞれの相手が願う方法で最善の関係を築く努力を惜しまなかった。S1第8話でソッキョンが「責任感のある人が好きだ」と言ったことに対し、ミナは失敗しながらも誠実に仕事と向き合う。このエピソードで、S1第8話同様に同期のミョン先生が職務を放って消えてしまうが、ミナは最善を尽くし対処する。第1話でソンファに「告白しないで」と言われたイクジュンは、友情の一線を超えないように彼女を支え励まし最善を尽くしてきた。
シーズン2第11話までのドラマ内カレンダーは、2019年12月から2021年5月の18カ月間。そして、2020年3月の韓国での放送開始から18カ月。『賢い医師生活』と同じ監督・脚本による『応答せよ1994』の第13話のタイトルは「1万時間の法則」で、ローマは1日にして成らずと同義の「1日3時間10年間、1万時間を練習・勉強・努力に費やした人が栄光を掴む」という法則を鍵に物語が進む。「努力は目に見えない、見えるのは結果だけだ。だから他人の成功は天賦の才もしくは幸運として片付けられる」のナレーションは、家族や友人さえも“遊んでばかりいるのに優秀”と決めつけるイクジュンのことを表しているようだ。もっとも、視聴者はこれもミスリードだと知っている。第11話でS1とは逆告白を受けるミナとイクジュンが、想いを告げた頃から平均睡眠時間約7時間を除いた1日17時間を最善を尽くす人間として生きると約1万時間となる。
『応答せよ1994』でこの法則を体現する野球選手のチルボンは、今作ではジョンウォン役のユ・ヨンソクが演じ、ニューヨーク・ヤンキースのヨギ・ベラの言葉を引用し結んでいる。「終わるまではまだ、終わっていない」。
次週の最終回でユルジェ病院の人々は大団円を迎えるのだろうか。それとも、シン・ウォンホ監督と脚本家のイ・ウジョンが作ってきた過去のドラマのように、ビタースイートな後味を残すのだろうか。医師たちは「施術は患者の選択です。もし、自分の家族だとしたら……」と繰り返し告げてきた。ドラマの受け取り方も、それぞれに託されている。韓国の一部メディアでは、最終回は異例の長時間放送になるという報道がある。
『賢い医師生活』第12回は、9月16日深夜配信予定。
■配信情報
『賢い医師生活』
Netflixにて配信中
写真はtvN公式サイトより